総務省の調査で2014年5〜11月までの間に固定買取価格制度(FIT)で認定された出力30kW以上50kW未満の太陽光発電設備のうち、1451設備が経済産業省が禁止している「分割案件」の可能性があるとわかった。これを含め総務省は経済産業省に対して3つの勧告を行っている。
総務省は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の運営に関する実態の把握を目的に、発電設備の認定状況、電力系統への接続状況、固定価格買取制度に関わる収支状況などに関する調査を実施。2015年9月8日にその結果を公表した。
その中で2014年5〜11月までの間にFITに認定された出力30kW(キロワット)以上、50kW未満の太陽光発電設備、全3万2813設備のうち1451設備が経済産業省が原則禁止している「分割案件」の疑いがあることが分かった。これを受け総務省は経済産業省に対し、FITによる太陽光発電設備の認定について確認を徹底するよう勧告を行っている。
FITを利用して発電事業者が電力会社に売電するには、発電設備が法令で定める要件に適合しているかどうかの審査を経て設備の認定を受けなくてはならない。太陽光発電設備の場合、発電設備の出力が50kW未満かどうかが設備認定を受ける上で1つのポイントとなる。
出力が50kW以上、つまり高圧系としてFITの認定を受ける場合、発電事業者には設備の設置する際に「電気主任技術者の選任」「工事着工前までの保安規程の届出」などを行う義務が生じる。さらに2014年4月1日以降は、一部の特例を除き、認定後6カ月以内に土地と設備を確保できなければ認定そのものが効力を失うことになった(図1)。
FITによる電力の買取価格は、設備認定を受け電力会社への接続申請が完了した段階で決定する。6カ月以内という規制は設備認定だけを取得し、高い買取価格を維持したまま太陽光パネルの価格低下を待つなど、設備の建設コストを削減を目的に意図的に工事を遅らせる発電事業者の発生を防ぐのが目的だ。
現時点でこうした義務や規制は50kW未満の低圧系であれば対象にならない。そこで同一の事業地における発電設備を意図的に分割し、それぞれを50kW未満の低圧系として申請してこうした規制を回避することを「分割案件」と呼んでいる。経済産業省はこの分割案件を2014年度から禁止している。
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