地熱開発の補助金が48地域に拡大、人口117人の離島でも発電と熱水利用:自然エネルギー(2/2 ページ)
図3 補助金の対象事業。出典:資源エネルギー庁
地熱開発の補助金は地域の住民を対象にした勉強会などの「ソフト支援事業」のほか、ハウス栽培などに地熱を利用する「ハード支援事業」が対象になる(図3)。補助額は1件あたり最高で1億8000万円、最低が100万円である。
2015年度からは新たに「温泉影響調査等事業」に対しても補助金を出すことになった。開発地点の周辺の温泉で湧出量が過度に減少した場合に、代替の井戸を掘削する費用を補助するものである。ただし2015年度の補助対象になった48件の中に該当例は含まれていない。
新たに選ばれた11地域の中では、長崎県の「小浜(おばま)温泉」で熱水を活用した事業イメージが具体的に描かれている。2015年9月に温泉水を利用した地熱発電所が売電事業を開始したことを受けて、発電後の熱水を旅館に供給するほか、低温になった温泉水を農作物のハウス栽培や魚介類の養殖に利用することを検討中だ(図4)。地熱発電を中核にした町おこしのモデルとして注目が集まっている。
図4 地熱発電に伴う熱水活用事業イメージ。出典:小浜温泉エネルギー
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- 温泉発電で町おこし、「湯の花」を抑えて年間3000万円の収入に
長崎県の雲仙岳のふもとにある小浜温泉は地熱バイナリー発電の導入で知られる。3年間にわたる実証実験で明らかになった課題をもとに、発電設備を改造して商用化にこぎつけた。温泉から発生する「湯の花」の付着対策などを実施して9月2日に売電を開始することができた。
- 地熱開発の補助金が37地域に広がる、温泉井戸の掘削も対象に
28億円の国家予算を投入する地熱資源開発の補助金の交付対象に新たに9つの地域が決まった。すでに第1次の公募で確定している28地域と合わせて、全国37カ所で開発プロジェクトが進む。第3次の公募も8月3日に始まり、地熱発電所の影響を調査するための温泉井戸の掘削が対象に加わった。
- 全国に広がる地熱発電の開発計画、北海道から九州まで39カ所
地熱発電は国内の再生可能エネルギーの中で開発余地が最も大きく残っている。これまでは発電所の建設に対する規制が厳しかったが、徐々に緩和されて開発計画が増えてきた。現時点で調査・開発段階にある地熱発電のプロジェクトは全国で39カ所に広がっている。
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