自動車は人を運ぶだけではない、ホンダが描く“エネルギーをつなぐ”世界蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2015年10月09日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]
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発電機技術をベースに水素でつながる社会へ

 展示の中心となったPower Exporter 9000は、ホンダが2014年11月に新型FCVのコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」とともに発表した製品だ。同製品は電気自動車や燃料電池車、再生可能エネルギーなどの直流電流を、一般家庭に給電するため、最大9kVA(キロボルトアンペア)の交流電流に変更可能だ。また、V2L(Vehicle to Load)ガイドラインに準拠しているため、同ガイドラインに準拠している他社車両であっても利用可能だという。出力端子は100V電源×6個と200V電源×1個を備えており、多彩な出力にも対応可能だ(図4)。

photo 図4 Power Exporter 9000

 同製品は、基本的には発電機に搭載したインバーター部分を切りだした製品だといえる。50年の歴史の中で磨き上げられたインバーター技術により「生み出される電気の質が非常に高いことが特徴だ」と岡本氏は述べる。家庭用コンセントと同様の高品質な電気を供給可能でノートPCなども安定した動作が可能。さらに、その高品質な電気を生かして現在鳥取大学医学部付属病院で実証実験を行っているという。岡本氏は「長い間シビアな発電機事業で鍛えられてきた技術があるからこそ実現できた」と述べている。

 また、Power Exporter 9000は、FCVやEVと組み合わせて使用することを想定した製品で、電気を出力する自動車との組み合わせで発電機の役割を代替するというものだ。岡本氏は「FCVなどと組み合わせて使用することで移動式の大型発電機を実現可能となる」と述べる。

 ホンダでは現在さいたま市と共同で2015年1月に発売したV2H(Vehicle to Home)対応DC普通充電器「Honda Power Manager(以下、HEH55)」を、さいたま市立太田小学校内に設置し、実証実験を進めている。同実験では、平常時は公用車として使用しているFCVやEVから蓄電池への継ぎ足し充電なども行う。まさに自動車がエネルギーのつながりを実現する役割を担うわけだ。

 水素ステーションも従来モデルよりも高さを低く、容量を増やしたモックアップなども用意(図5)。「豊かで持続可能な社会」の実現に向けてチャレンジしていくとしている。

photo 図5 小型化で容量を増やした新型水素ステーションのモックアップ
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