自動車は人を運ぶだけではない、ホンダが描く“エネルギーをつなぐ”世界蓄電・発電機器(1/2 ページ)

ホンダは、IT・エレクトロニクス総合展示会「CEATEC JAPAN 2015」(2015年10月7〜10日、東京ビッグサイト)に出展した。燃料電池車「Honda FCV CONCEPT」など個々の機器に注目が集まるが、同社がポイントとしたのは「電力によりつながる世界」である。

» 2015年10月09日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 ホンダは、「CEATEC JAPAN 2015」において、新型燃料電池車(FCV)のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」(図1)や、世界初披露となる外部給電器「Power Exporter 9000」などを出展。しかし今回の展示のメインコンセプトは「つながる」である。「今回の出展で最も訴えたいことは「エネルギーでつながる世界に貢献するということだ」と同社 四輪事業本部 事業企画統括部 スマートコミュニティ企画室 主任技師の岡本英夫氏は述べる。

photo 図1 ホンダのFCVコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」。大きな注目を集めたが「今回はFCVだけを訴えたいわけではない」(ブース説明員)。

発電機に50年の歴史あり

 「エネルギーでつながる世界」を象徴するのが発電機だ。実は、2015年はホンダの発電機の生産開始から50周年を迎える。ホンダの発電機の歴史は古く逸話に満ちたものだ。もともとは1962年に創業者の本田宗一郎氏が、ソニーの創業者井深大氏から「小型携帯テレビ用に長時間使用できる電源が欲しい」と依頼され、開発を開始した。最終的にはソニーとの業務提携は成立せず、発表のみで市販までには至らなかったが、その参考モデルである「E40」にはソニーのロゴが入っている(図2)。

photo 図2 ソニーのマイクロテレビ用に開発したポータブル発電機「E40」

 その後、1965年に初の市販モデル「E300」を発売。家庭用発電機市場の拡大に貢献した。1987年にはインバーターを搭載し従来モデルに比べ大幅に小型・軽量化した発電機「EX300」を投入し、技術的なブレイクスルーを実現した。またカセットボンベで発電するガスパワー発電機「ENEPO EU9iGB」や、正弦波インバーター搭載で、エンジンの状態をセンサーで検知し、その情報をもとに常に最適な量の燃料をエンジンに噴射するFI(フューエルインジェクション)を採用した「EU55is」の製品化など、幅広い製品を展開してきた。

 ホンダの発電機の2014年までの総生産台数は約1600万台におよび、1年間に生産する発電機の総出力は42万台、100万kW(キロワット)に及ぶ。これは日本の平均的な火力発電所2基分に相当するという(図3)。

photo 図3 ホンダの発電機50年の歴史(クリックで拡大)

 「ホンダといえば自動車」と思いがちだが実は、ずっとエネルギーに関わってきた企業であるということがいえるのだ。そしてエネルギーを最適に活用するためにさまざまな技術を蓄積してきた。今回のCEATEC JAPANでは、発電機50年の歴史を振り返る展示を抜けたところに、「Honda FCV CONCEPT」やPower Exporter 9000、水素ステーションなど「水素社会」を体現する製品群が展示されている。今回ホンダがCEATEC JAPANでの展示の意図はここにある。

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