150度の高温で利用可能な全固体リチウム二次電池、基礎技術を開発蓄電・発電機器(1/2 ページ)

日立製作所と東北大学の研究グループは、高温環境下で活用可能な全固体二次電池において、電池内の内部抵抗を低減する技術を開発し、外気温150度の環境に置いて理論容量90%の電池動作を実現した。

» 2015年11月16日 11時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 エネルギ―密度が高いリチウムイオン二次電池は、スマートフォンやタブレットなどの小型携帯端末用電源などの他、電気自動車用電源、再生可能エネルギーの需給調整などさまざまな用途での活用が進められている。現状の一般的なリチウムイオン二次電池は、正極と負極をセパレータで隔て、電池内に満たした電解液をリチウムイオンが往来することで充放電を行う。ただ、電池内の電解液には、揮発性の有機溶媒を含んでいる場合が多く、高温になると電解液が蒸発し、充放電が行えなくなる。そのため多くのリチウムイオン二次電池の耐熱温度は60度付近とされてきた。

 この問題を解決するために、電解液の部分に不揮発性の固体電解質材料の開発が進められてきた。しかし、固体電解質材料はリチウムイオン伝導性が低いため、実用化に向けて電池内部の抵抗を低減しなければ、二次電池として十分な性能を発揮できない。

 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(以下、WPI−AIMR)と金属材料研究所では、これまでに新しい固体電解質としてLiBH4系錯体水素化物を開発し、室温レベルから150度までの温度範囲においてリチウムイオン伝導が可能であることを確認してきた。今回、日立と東北大学の共同研究グループは、LiBH4系錯体水素化物を用いたリチウムイオン二次電池において、充放電性能の低下要因となる電池内の内部抵抗を低減する技術を新たに開発し、小容量(2mAh)電池を試作し外気温150度で理論容量90%の電池動作を実証した(図1)。

photo 図1 新開発した電池の構成の比較 出典:日立製作所
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