徳島県の再生可能エネルギーは大規模な水力発電所を除くと、太陽光発電の導入量が圧倒的に多い(図5)。今後も太陽光が最も大きく伸びるものの、同時に風力・小水力・バイオマスを増やしてバランスのとれた電源構成を目指す方針だ。さらに各種の再生可能エネルギーと水素を組み合わせて、新しい産業を生み出す計画も進んでいる。
徳島県内には風況に恵まれた地域が広く分布している。東側の沿岸部は風力発電の条件になる年間平均風速5.5メートル/秒を上回る(図6)。内陸の山岳地帯には8メートル/秒を超える場所もあり、新しい風力発電所の建設計画が進行中だ。
中部の上勝町(かみかつちょう)を中心に3つの町と村にまたがる山の稜線に沿って、発電能力が39MWにのぼる風力発電所の建設が環境影響評価の最終段階にある。手続きが完了すれば建設工事に入って、2020年までには運転開始が見込まれる。
一帯は年間の平均風速が6メートル/秒を超える風況の良い地域で、設備利用率は風力発電の標準値20%を上回る。年間の発電量は一般家庭の2万世帯分を超える見通しだ。立地する3つの町と村の総世帯数(3800世帯)に対して6倍近い規模の電力供給量になる。
建設計画を進めているユーラスエナジーグループは同じ地域の高原で2009年から、四国電力グループと共同で「大川原(おおかわら)ウインドファーム」を運転してきた。15基の風車で19.5MWの発電能力がある(図7)。
年間の発電量は4100万kWhにのぼり、1万1400世帯分に相当する。設備利用率は24%になる。計画中の風力発電所が同程度の設備利用率を発揮できれば、2つの風力発電所だけで徳島県内の電力需要の2%程度をまかなえる。
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