「洋上風力第1ラウンド」で撤退が発生した理由とは? 要因分析と制度見直しの方向性第41回「洋上風力促進WG」(1/3 ページ)

2025年8月に三菱商事らの企業コンソーシアムが事業開発の中止を発表し、大きな話題となった「洋上風力第1ラウンド」。資源エネルギー庁と国土交通省の合同会議において、事業撤退の背景などを調査した報告書が公開された。

» 2026年01月06日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 洋上風力発電は2030年までに10GW(1,000万kW)、2040年までに30〜45GWの案件を形成することが政府目標として示されるなど、大量導入と大幅なコストダウンが期待される再エネ電源の一つである。

 国は再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業者の初回公募(いわゆる第1ラウンド)を2020年11月から2021年12月にかけて実施したところ、三菱商事エナジーソリューションズを代表企業とするコンソーシアム(以下、三菱商事と呼ぶ)が3区域のすべてを落札した。

表1.第1ラウンド公募の評価結果 出所:洋上風力促進WG

 ところが、2025年8月27日に三菱商事はこれらすべての事業開発を中止することを公表したことにより、関係者に大きな衝撃を与えるとともに、日本の洋上風力発電の現状と課題が再認識されることとなった。

 日本において黎明期にある洋上風力発電事業を確実に完遂させるためには、現在の洋上風力発電に関する制度的な課題を整理し、必要な制度見直しにつなげていくことが重要である。このため、資源エネルギー庁の洋上風力促進WGと国土交通省の洋上風力促進小委員会の「合同会議」では、三菱商事へのヒアリング等を通じて事業撤退に至った要因等の分析を行い、第41回合同会議においてその報告書が公開された。

第1ラウンドの評価基準・評価方法の振り返り

 洋上風力発電事業は長期にわたり海域を占用し、他の再エネ電源と比べて地域経済等への波及効果が大きく、難易度が高い洋上工事を伴うこと等から、事業実現性について幅広く評価する必要がある。同時に、国民負担の抑制の観点から供給価格も等しく重要であり、両者を総合的に評価するため、「供給価格」と「事業実現性」の配点は1:1(120点:120点)としている。また、第1ラウンドでは「事業実現性」の内訳として、図1のように「事業実施能力」と「地域との調整」等に対して2:1(80点:40点)の配点を行っていた。

図1.第1ラウンド 事業実現性に関する要素の配点 出典:洋上風力WG

 価格点は、「120点×(最も低い供給価格/当該事業者の供給価格)」という採点方法であり、1位の事業者は必ず満点(120点)を獲得するため、2位以下の事業者と価格点に差が生じやすい仕組みである。

 他方、事業実現性については、「トップランナー・ミドルランナー・最低限・不適切ではない・失格」の5段階で評価する方法であるため、トップランナーが存在しない評価項目では満点が発生せず、多くの評価項目でミドルランナーに集中しやすく、点数差が生じにくい仕組みであった。

 これらの評価方法が、応札事業者に対して、過度な低下価格入札を招く一因となり、結果として、応札者の事業計画の実現性やリスクへの対応に関する評価が十分ではなかったと考えられる。

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