石炭火力発電のコスト削減とCO2回収を急げ、日本の威信をかけた実証プロジェクト蓄電・発電機器(1/3 ページ)

地球温暖化で是非を問われる石炭火力発電だが、燃料の価格が安くて調達しやすいことから、日本では今後も重要な電源に位置づける。CO2排出量を抑制しながら発電効率を高める実証プロジェクトが2016年度から第2段階に入る。5年間で275億円を投入する計画に対して内閣府が要望を出した。

» 2015年12月24日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 欧米の先進国が石炭火力発電の撤廃に動き出す中で、日本は世界で最先端の技術を進化させてCO2(二酸化炭素)の抑制に取り組んでいく。その中心になるのが「大崎クールジェンプロジェクト」である。瀬戸内海に浮かぶ広島県の大崎上島(おおさきかみじま)で2012年度から実証試験設備の建設が進んでいる(図1)。

図1 「大崎クールジェンプロジェクト」の実証試験設備の完成イメージ。出典:大崎クールジェン

 石炭火力の発電効率を大幅に改善する「石炭ガス化燃料電池複合発電」の商用化を目指して、2016年度から第2段階に入る(図2)。第2段階では発電で生じる大量のCO2を効率よく分離・回収する設備の実証試験が目的で、2020年度までの5年間に275億円を投じる計画だ。

図2 「石炭ガス化燃料電池複合発電」の実証事業スケジュール(画像をクリックすると2011年度以前の事業内容も表示)。出典:内閣府

 このプロジェクトは中国電力とJ-POWER(電源開発)が共同で実施して、第1段階と第2段階を合わせて総額1170億円を投入する。事業費のうち481億円を国家予算で拠出する重要なプロジェクトであるため、事前と事後、さらに中間の各段階で政府が事業の妥当性を評価することになっている。

 事業評価を担当する内閣府の「総合科学技術・イノベーション会議」が12月18日に、第1段階と第2段階の中間報告案を公表した。その中で第1段階で実施した「酸素吹き石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)」の実証が当初の目標通りに進んでいることを評価する一方で、実用化に向けて発電設備の建設コストを削減する取り組みを加速するように求めた。

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