愛媛県の再生可能エネルギーは瀬戸内海の沿岸部で太陽光とバイオマスが増える一方、海をはさんで九州に接する南西部を中心に風力発電が拡大中だ。固定価格買取制度の導入量でも風力発電は全国で第5位に入る(図7)。
南部の宇和島市にある標高500メートルを超える山の尾根に沿って、9基の大型風車が並んでいる。J-POWER(電源開発)が2015年3月に運転を開始した「南愛媛風力発電所」だ(図8)。1基あたりの発電能力は2.4MWで、合計すると21.6MWになる。年間の発電量は5400万kWhを想定している。1万5000世帯分に相当する電力になり、宇和島市の総世帯数(3万7000世帯)の4割をカバーすることができる。
山から海に向けて起伏が激しい宇和島市では、南愛媛風力発電所に続いて20MWクラスの風力発電所の建設計画が3カ所で進んでいる。一帯には年間の平均風速が7メートル/秒を超える場所が広がっていて、風力発電に十分な強い風が吹きつける。
最近では小水力発電の取り組みも進んできた。松山市にある工業用水を供給する水道施設を利用して、2015年8月に「畑寺(はたでら)発電所」が運転を開始した。上部の水槽から発電所まで50メートルの落差があり、最大で510kWの電力を供給することができる(図9)。
年間の発電量は360万kWhを見込んでいて、1000世帯分の電力になる。この電力も入札方式で売電する。1回目は2017年3月までの20カ月分を対象に、新電力の日本ロジテック協同組合が1kWhあたり29.80円で落札した。固定価格買取制度の29円を少し上回る買取価格である。再生可能エネルギーで自治体の収入も増えていく。
*電子ブックレット「エネルギー列島2015年版 −四国編−」をダウンロード
2016年版(38)愛媛:「いちご栽培に水素を活用、工場の廃熱や廃液もエネルギー」
2014年版(38)愛媛:「リアス式の海岸に風力発電、50基を超える風車で自然と共生」
2013年版(38)愛媛:「みかんのバイオマスに続け、南予の風力と東予の太陽光」
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