海と山に囲まれた愛媛県には再生可能エネルギーの資源が豊富にある。造船で栄えた瀬戸内海の沿岸部では広大な遊休地と日射量を生かしてメガソーラーが相次いで運転を開始した。都市から排出する廃棄物や森林で発生する間伐材を燃料に使ってバイオマス発電も活発になってきた。
瀬戸内海に面した愛媛県の北部は古くから造船業が盛んな地域だ。1901年に創業した今治造船は沿岸一帯に所有する遊休地の1カ所を利用して、四国最大のメガソーラーを2014年12月から運転している。以前はゴルフ場があった40万平方メートルにのぼる用地に、13万枚を超える太陽光パネルを設置して電力を供給する(図1)。
発電能力は33MW(メガワット)に達して、年間の発電量は3700万kWh(キロワット時)にのぼる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると、1万世帯分を上回る規模になる。メガソーラーが立地する西条市の総世帯数(5万世帯)の2割強に相当する。
さらに今治造船は同じ年の2月にも、17MWのメガソーラーを西条市の工場の構内で稼働させた(図2)。年間の発電量は1900万kWhで、5300世帯分の電力を供給することができる。2つのメガソーラーを合わせると、西条市内の3分の1の家庭の需要をカバーする電力量になる。
隣接する今治市では、NTTファシリティーズが「F今治玉川太陽光発電所」の運転を2015年2月に開始した(図3)。発電能力は2.5MWで年間の発電量は300万kWhになる。今治市の山間部にあるダム湖のほとりに建設した。日射量に恵まれた湖畔には他の事業者によるメガソーラーも稼働中だ。
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