“分かりやすさ”を全国展開、みんな安くなるKDDIの「au でんき」電気料金の新プラン検証シリーズ(11)(1/4 ページ)

2016年4月から始まる電力の小売全面自由化で注目なのが、大手通信キャリアの参入によるセット割引の提供だ。ソフトバンクに続いて、KDDIも「auでんき」の料金プランの内容を明らかにした。地域や使用電力量を問わず、KDDIの携帯電話(au)ユーザー全員に割引のメリットを訴求する特徴的なプランとなっている。

» 2016年01月20日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ」

 大手通信キャリアのKDDIは、電力の小売全面自由化が始まる2016年4月から電力小売市場に参入する。これに先駆け2016年1月19日に会見を開き、電力事業のブランド名である「au でんき」の料金プランやサービス内容について発表した。同社の携帯電話(au)ユーザーを対象に、携帯電話と電力料金のセットで最大5%割引になるサービスを提供していく。2016年1月20日より利用受付登録を開始した。

 大手通信キャリアでは既にソフトバンクが2016年4月からの料金プランを発表している(関連記事)。携帯電話事業と同じく電力事業でもソフトバンクの競合となるKDDIだが、ソフトバンクとは少し異なる料金プラン戦略を打ち出している。

「au でんき」は全国展開、電気料金は今までと“同じ”

 au でんきの大きな特徴が、沖縄県と一部離島を除く日本国内の全地域で展開していく点だ。東京電力と提携して電力小売市場に参入するソフトバンクの現時点での提供エリアは、東京・関西・中部電力エリアに限られている。ソフトバンクは提供エリアを順次拡大していく計画だが、KDDIは北海道から九州まで、つまりは国内のほぼ全てのauユーザー対象に小売電力を販売していく。

 では各地域における電気料金はどうなるのか。au でんきの料金プランは家庭向けの「でんき M プラン」と、店舗などの法人向けとなる「でんきLプラン」の2種類だ。この2つのプランの料金は、現在、各地域の電力会社が提供している従来電灯プランと同じ料金体系になっている。例えば東京都に住むユーザーであれば、家庭向けのでんき M プランの料金体系は東京電力の従来電灯Bと同等になる。つまり、どの地域のユーザーでも電気料金そのものはこれまでと変わらない。

 KDDIがユーザーに対する割引メリットとしてアピールするのが、auの携帯電話やスマートフォンとau でんきの同時利用によって適用される「au でんきセット割」だ。毎月のau でんきの使用料金に応じて、一定金額がキャッシュバックされる(図1)。

図1 「au でんきセット割」の割引率と、説明を行ったKDDI 代表取締役 執行役員 専務の石川雄三氏(クリックで拡大)

 割引率は以下の通り。毎月のau でんきの利用料金総額が4999円未満の場合は1%、5000〜7999円の場合は3%、8000円以上については5%の割引となる。この割引の適用は、毎月の電気料金から割り引く、もしくはKDDIが提供する電子マネー兼ポイントサービスである「au WALLET プリペイドカード」への入金によるキャッシュバックの2種類から選択できる。これらの支払いを「au WALLET クレジットカード」にすれば、さらに200円ごとに2ポイントを付与する。

 このようにau でんきセット割はポイントを「基本となる電気料金は今までと同じ」だが「使用電力量に関係なく電気料金の総額に応じて一定額を割引く」という2点に絞った、シンプルなサービス体系となっているのが大きな特徴だ。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.