国土が狭くて海に囲まれている日本では、将来に向けて再生可能エネルギーの導入量を拡大するうえで洋上風力発電に期待がかかる。洋上風力発電の実施方法には、設備を海底に固定する「着床式」と海面に浮かべる「浮体式」がある。水深が50メートル以内の海域では着床式が一般的で、建設費や運転維持費が浮体式よりも安く済む利点がある。
着床式の洋上風力は2014年度から固定価格買取制度の対象にも入った。1kWh(キロワット時)あたりの買取価格は36円(税抜き)で、陸上風力の22円と比べて1.5倍以上である。陸上風力よりもコストが高い代わりに、洋上では風速が速いために設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)が高くなる(図5)。
政府は2016年度の予算案の中に総額75億円で「洋上風力発電等技術研究開発」を盛り込んでいる。2015年度の予算でも総額79億円を投入した。浮体式では発電システムの実証研究に取り組む一方、着床式は事業者の開発プロジェクトを支援して実用化を加速する方針だ(図6)。
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