動き始めたEMS、課題は“補助金頼み”からの脱却エネルギー管理(2/3 ページ)

» 2016年01月29日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

冷凍機などの販路を強みとするパナソニック産機システム

 冷凍機や空調付きショーケースで高シェアを持ち、この販路を生かしてEMSを展開しているのがパナソニック産機システムである。同社はスーパーマーケットなど向けの冷凍機やショーケースなどで高いシェアを持ち、これらのメンテナンスやサポートなどを進める中で、機器の省エネ制御へのニーズを受けてEMSの展開を進めるようになった。冷凍機やショーケースだけでなく、店舗空調や照明の制御を含め、1店舗まとめてエネルギー管理および制御を行えるという(図1)。

 同社の強みとしてパナソニック産機システムズ ストアプランニング部 NBSプランニング課 主事の湯村真之氏は「ポイントは冷凍機などの温度管理と店舗空調などの店内環境の温度管理などを個別に監視して制御できる点だ。スーパーマーケットなどでは冷凍機やショーケースで培ったノウハウなどを生かしつつ、より広い領域への展開を進めていく」と述べている。

photo 図1:パナソニック産機システムズの冷凍機向けの温度制御「エコストア」の概要(クリックで拡大)※出典:パナソニック産機システム

空調設備を核にデマンドレスポンスなどにも展開を広げる日比谷総合設備

 空調設備などで高い実績を持つ日比谷総合設備は、豊富な導入事例をもとにしたエネルギーマネジメントサービスなどを出展。自治体や工場で電力消費量などを削減した事例を紹介した他、先進的な取り組みとして実証実験などを進めているデマンドレスポンスソリューションをアピールした。

 同社のデマンドレスポンスシステムは、独自の負荷制御ユニット「Smart-Save」と、現在の運転データをもとにどの機器がどれだけ負荷抑制が可能かという対象機器ごとの削減量をシミュレーションする「リアルタイム削減予測」を組み合わせて実現。このシミュレーションには独自のアルゴリズムとして「日比谷DRエンジン」を用意しており、差別化につなげていく方針だ(図2)。

photo 図2 日比谷総合設備のデマンドレスポンスシステムの仕組み(クリックで拡大)※出典:日比谷総合設備

 日比谷総合設備 E&Sビジネス推進本部 副部長の久野誠氏は「エンドユーザーへの負担をかけずに設備1台1台の負荷低減余力を把握してコントロールできる点が当社の強みだ」と述べている。

コストパフォーマンスが魅力の東洋エンジニア

 東洋エンジニアは高いコストパフォーマンスが魅力のBEMS「かんデマ」を紹介。デマンドコントローラーである「かんデマコントローラー」を設置することで「電気の見える化」と「エアコンの自動制御」を実現できる。システムを機能ごとに分割して導入できることから一度の投資金額を抑えて導入できる上、投資総額も大手企業の展開するBEMSなどに比べると抑えられる点が魅力だという(図3)。

 東洋エンジニア 東京事務所 主幹の小川朝雄氏は「全ての機能を導入しても大手企業のBEMSに比べても2分の1〜3分の1の投資金額に抑えられるコストパフォーマンスが1つの強み。既に関西圏では300カ所以上の導入実績がある。関東エリアでも導入を伸ばしていきたい」と述べている。

photo 図3 東洋エンジニアのBEMS「かんデマ」のシステム概略図(クリックで拡大)※出典:東洋エンジニア

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