動き始めたEMS、課題は“補助金頼み”からの脱却エネルギー管理(1/3 ページ)

社会課題としての電力消費の削減が大きな注目を集める中、導入が徐々に広がり始めているのがEMS(エネルギーマネジメントシステム)である。省エネ・新エネに関する展示会「ENEX2016」内において、関東経済産業局およびESCO推進協議会が展示会内展示会として開催した「省エネルギ―フェア2016」の様子を紹介する。

» 2016年01月29日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 地球温暖化対策として温室効果ガス削減に向けて国家レベルで大きな動きが広がる中、日本国内でもエネルギー使用量を削減し、温室効果ガスの排出を抑えようという動きが進み始めている。

 しかし、日本ではエネルギー使用量の削減が想定したほどは進んでいない。例えば、エネルギー起源の二酸化炭素排出量を、日本政府が基準年とおいた、2005年度と2013年度で比較すると、2013年度は12億3500万トンとなり2005年度の12億1900万トンよりも増えている。製造業などの産業部門や運輸部門、電力などのエネルギー転換部門などは減少しているが、業務その他部門と家庭部門が大きく増加しているためだ(図1)。

photo 図1 エネルギー起源二酸化炭素排出量の目安 出典:地球温暖化対策推進本部

 この「業務部門」となる、事務所や学校、病院、ホテル・旅館、商業施設などの省エネを推進するには、照明や空調をエネルギー使用効率の高いものに置き換えるということが考えられるが、省エネ効果をさらに高めるために注目を集めているのがBEMS(ビルディングエネルギーマネジメントシステム)などをはじめとするEMSである。

 EMSの普及は進みつつある。その原動力となっているのは「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」などの補助金の存在だ。ただ、その状況も徐々に変わりつつあり「補助金がなくてもEMSを導入したいという動きは徐々に広がってきている。市場に徐々に定着してきた手応えがある」(パナソニック産機システムズ ストアプランニング部 NBSプランニング課 主事の湯村真之氏)とする声も出るなど、“補助金頼み”から脱却する動きなども見えつつある。

 「省エネルギーフェア2016」は、省エネに関するサービスを提供する事業者が出展し、業務部門の事業者に対して、具体的な省エネの取り組みによる経営改善を提案する展示会である。さまざまな省エネ技術が出展されたが、特にEMS関連の展示が目立った。同フェアがENEX内で展示会を実施するのは初めてだという。同フェアの出展内容から目立ったものを紹介する。

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