空調コストを跳ね上げる「断続運転」を抑制、東芝キヤリアの新型エアコン省エネ機器

東芝キヤリアと中部電力は店舗・オフィス用エアコンの室外機「スーパーパワーエコゴールドP224・P280形」を共同開発した。低負荷運転時の省エネ性能などを高めたことで、従来比18%のエネルギー消費量削減が可能になるという。東芝キヤリアから2016年4月8日より発売する。

» 2016年02月08日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 環境対策や省エネが求められる中、店舗・オフィスの多くには、使用電力量の約半分を空調が占めているというデータがある(資源エネルギー庁「夏期最大電力使用日の需要構造推計」から)。そのためより高い省エネ性能をもつエアコンが要望されている。

 店舗・オフィスに設置されている従来機種のエアコンの運転状態を調べてみると、低負荷(最大能力の30%以下のパワー)で運転する時間が大部分を占める(図1)。そして低負荷運転時には運転のON/OFFを繰り返して温度を管理する断続運転を行うため、エネルギーロスが発生してしまうといった課題があり、その改善策が求められてきた。

図1 冷房期における外気温別運転時間と空調負荷率 出典:東芝キヤリア

 今回、東芝キヤリアと中部電力が共同開発した「スーパーパワーエコゴールドP224・P280形」は、コンプレッサーやインバータなどの部品改良を行うことで、業界トップクラスの省エネ性能を達成するとともに、低負荷運転の断続運転を抑制し、エネルギーロスが発生する機会を低減させることが可能となった。また、本体のコンパクト化にも成功し、設置スペースや重量を削減した(図2)。

図2 「スーパーパワーエコゴールドP224・P280形」の外観 出典:東芝キヤリア

 特徴を具体的にみると高い省エネ性(通年エネルギー消費効率であるAPF2015で5.9を達成)はコンプレッサーの高効率・大容量化、インバータ基板に東芝キヤリア独自の昇圧回路を搭載するなど省エネ化にとって重要な部品の改良を行うことで実現した。これにより、エネルギー消費量は従来機種比で約18%削減できるという。断続運転の抑制は運転時における冷暖房幅を広げることで対応しており、これでエネルギーロス機会を低減する(図3)。

 コンパクト化は薄型新室外機筐体の採用により実現。サイズは高さ1550×幅1010×奥行370ミリメートルで、設置面積(底面積)を約50%、製品質量を65kg削減できたことにより、搬入時などの負担軽減や、設置場所の自由度向上にも貢献するという。税別価格は室内機(天井カセット形4方向吹き出しタイプ同時ツイン組み合わせ)とのセットで8馬力のP224形が192万1000円。10馬力のP280形は227万5000円。

図3 従来機種との能力変動幅の比較 出典:東芝キヤリア

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