関西国際空港で燃料電池フォークリフトの実証運用が3月に始まる。トヨタ自動車の「MIRAI」と同じ燃料電池を搭載した試作車両2台を導入して、空港内で大量に発生する貨物の運搬作業に利用する。2025年をめどに数百台の燃料電池フォークリフトへ完全に移行する計画だ。
世界に先駆けて「水素グリッドプロジェクト」を推進中の関西国際空港に、新タイプの燃料電池フォークリフト2台を3月に配備する(図1)。豊田自動織機が開発した実用化モデルの試作車両で、最大の特徴はトヨタ自動車の「MIRAI」と同じ燃料電池を搭載している点だ。量産車と部品を共通化することでコストダウンを図ることができる。
燃料電池フォークリフトで使う水素は空港の貨物倉庫の屋内に設置した供給システムで送り込む。圧縮水素容器に入れて外部から運んできた水素を圧縮機で40MPa(メガパスカル=通常の大気圧の約100倍)まで昇圧した後、蓄圧器に貯蔵して必要な量をディスペンサーから供給する仕組みだ(図2)。
ディスペンサーから燃料電池フォークリフトに水素を充填する時間はMIRAIと同様に約3分で済む。充填後には約8時間の連続稼働が可能だ。電動フォークリフトでも同程度の連続運転が可能だが、充電に6〜8時間もかかる。稼働率の高さで燃料電池フォークリフトの実用性が上回る。豊田自動織機は関西国際空港に納入した実用化モデルをベースに、2016年度中に燃料電池フォークリフトの市販を予定している(図3)。
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