京都初の移動式ステーション、水素で2拠点をつなぐ「マザー&ドーター方式」蓄電・発電機器

大阪ガスが京都市南区で建設を進めていた、京都府初となる移動式の水素ステーション「上鳥羽水素ステーション」がこのほど完成した。2016年3月30日の開所を予定している。同社が既に大阪府で開設している「北大阪水素ステーション」で製造した水素を運搬し、燃料電池自動車(FCV)に提供していく。

» 2016年02月23日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 「上鳥羽水素ステーション」は、水素を供給する設備を搭載したトレーラーを専用スペースに駐車して水素を燃料電池自動車に販売する移動式ステーションだ(図1)。都市ガスから水素を製造する装置「HYSERVE-300」を設置している「北大阪水素ステーション」で製造した水素を運搬し、燃料電池自動車(FCV)に提供する。

図1 「上鳥羽水素ステーション」の外観 出典:大阪ガス

 このように北大阪水素ステーション(マザーステーション)と上鳥羽水素ステーション(ドーターステーション)を一体運用する「マザー&ドーター方式」を確立することで、北大阪水素ステーションの稼働率を向上し、より効率的な運用を目指す(図2)。

 上鳥羽水素ステーションには車載設備として水素圧縮機、蓄ガス設備(蓄圧器)水素プレクール設備、ディスペンサー。地上設備には空気圧縮機、水素カードル庫を備える。充填能力は1時間当たり100Nm3(ノルマル立法メートル)。充填圧力は70MPa(メガパスカル)で、充填速度は1台あたり3分程度。水素の販売価格は1キログラム当たり税別1100円(価格は変更する場合あり)。なお建設にあたっては、経済産業省の「水素供給設備整備事業費補助金」の交付を受けている。

図2 マザー&ドーター方式のイメージ 出典:大阪ガス

 大阪ガスは、FCVの普及に向けこれら水素供給インフラ設備の運営ともに、コンパクトな水素製造装置の開発も進めてきた。

 同社が開発し、北大阪水素ステーションに設置しているコンパクト水素製造装置HYSERVE-300は、長年培った高性能触媒技術をベースに、都市ガスを原料として、オンサイトでより安価かつ省スペースで、簡単に高純度水素を発生させることができる。改質部と精製部を同一ユニット内にパッケージ化し、設置面積を大幅に削減している。

 原料には中圧都市ガス(0.1MPa以上)を利用でき、圧縮動力を大幅に低減することが可能だ。また、主要機器仕様の標準化により製作費のコストダウンを実現した。さらにスキッドマウント構造により、装置の輸送、設置が容易になったほか、現地工事の期間およびコストを大幅に低減できるとしている。

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