課題の大型空調で“2倍成長”、3年で空調事業7000億円を目指すパナソニック省エネ機器(1/4 ページ)

パナソニックは同社の空調事業の売上高を、2018年度までに2015年度比約1.5倍となる7000億円規模に拡大する計画だ。特に“課題”の大型空調事業に注力し、同事業の売上高を2倍の2000億円規模に引き上げる。同時にグローバル販売網を強化し、海外売上の増強を図っていく方針だ。

» 2016年02月24日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 パナソニックは2016年2月23日に東京都内で会見を開き、パナソニック アプライアンス社 エアコンカンパニー 社長の吉田守氏が同社の空調事業戦略について説明した。空調製品のグローバル販売体制や大型空調事業を強化し、2018年度までに事業全体の売上高を2015年度の約1.5倍となる7000億円まで拡大する方針だ。

 パナソニックは同社の空調事業の強化に向けた組織改編として、2015年4月にアプライアンス社の下にエアコンカンパニーを設立。現在、国内2カ所、海外8カ所に製造会社を置き、日本、中国、欧州、北米、マレーシアなどに専門販社を展開している。エアコンカンパニーの設立1年目となる2015年度の売上高は、前年度比5%増となる4830億円、営業利益は同0.6%増の198億円で堅調な成長となる見通しだという(図1)。

図1 2015年度の経営状況の見通し(クリックで拡大)出典:パナソニック

課題は大型空調事業に

 2015年度の成長を特に支えたたのが、アジア・太平洋地域、インド・南アジア・中東阿(ISAMEA)だ。この2つの好調なセグメントと、日本、欧州での伸びを合計すると2桁成長になるが、その一方で香港と台湾を含む中国市場での失速が響いた。吉田氏は2015年度の総括について「ルームエアコン(RAC)事業では意欲的な成長目標を設定していたが、高価格帯の製品でシェア1位を堅持するなど、中国市場を除いてほぼ計画通りの成長を達成できた」と述べる。

パナソニック アプライアンス社 エアコンカンパニー 社長の吉田守氏

 同社のエアコン事業の売上高のうち、約4分の3はRACが占めており、2015年度の営業利益率も事業全体の4.1%を上回る5%以上を見込んでいる。2015年度は同社の空調事業の収益源といえるRACが中国市場以外では高成長を見せた一方で、吉田氏が今後の事業課題として挙げたのが大型空調事業の強化だ。

 パナソニックによると2014年度に10.6兆円規模だった空調機器のグローバル市場規模は、新興国市場などの成長が後押しし、2018年度までに13.5兆円規模にまで成長する見込みだ。同社ではこうした好調な市場成長に合わせて空調事業を強化し、2018年度までに売上高7000億円を目指す。その中で課題とした大型空調事業の売上高を2015年度の1000億円から、2018年度には倍増となる2000億円にまで引き上げる計画だ(図2)。

図2 2018年度に売上高全体を7000億円、大型空調は2000億円に引き上げる(クリックで拡大)出典:パナソニック
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