ホンダは新型の燃料電池車「CLARITY FUEL CELL」の販売を開始する。まずは企業や自治体を中心にリース販売を行い、1年半後をめどに一般発売も開始する計画だ。普及が期待される燃料電池車だが、乗り越えなくてはならない課題も多い。ホンダは会見で今後のさらなる普及に向けた課題や取り組みの方針について語った。
ホンダは2016年3月10日に東京都内で会見を開き、同日より燃料電池車(FCV)「CLARITY FUEL CELL」(クラリティ)の販売を開始すると発表した(図1〜3)。まずは自治体や企業を中心としたリース販売を行い、1年半後をめどに一般販売も開始する計画だ。初年度のリース販売計画は約200台を見込んでいる。2016年中に米国や欧州でも展開していく方針だ。
水素と燃料電池で発電した電力で走行し、CO2を排出しない「究極のエコカー」と呼ばれるFCV。ホンダに先行して販売が始まったトヨタ自動車の「MIRAI(ミライ)」は、発売から1カ月で当初の予定を大幅に上回る1500台を受注するという売れ行きを見せた。現在の納期は数年待ちの状態だ。
ホンダのFCV開発が本格的に始まったのは1999年にさかのぼるが、リース販売だけでなく一般販売も計画するFCVは今回のクラリティが初の車両だ。ミライに続いてクラリティの一般販売が始まれば、一般消費者でも購入できるFCVは2車種になる。
会見に登壇したホンダ 代表取締役社長 社長執行役員の八郷隆弘氏は「水素はさまざまなエネルギー源から製造が可能であり、貯蔵や運送にも適している。水素で走るFCVは将来的にガソリンエンジン車に置き換わる有望なモビリティだと考えている」と述べ、FCVに対する期待を語った。
クラリティの水素タンク容量は141リットルで、70メガパスカルの圧力で水素を貯蔵する。水素は約3分で充填(じゅうてん)可能で、航続距離は750キロメートルを達成した。価格は税込み766万円でミライよりも約43万円高いが、航続距離では100キロメートルを上回った。この他にもクラリティはミライと比較して異なる部分が複数ある。そこにあるのはホンダが将来の事業構想として描く、クラリティで培ったFCV技術の他車種への横展開だ。
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