空気で発電「亜鉛電池」、家電が直接つながるスマートエネルギーWeek 2016(1/3 ページ)

あらかじめ充電しておかなくとも非常時に利用できる電池が注目を集めている。先行するのはマグネシウム空気電池。これに対抗する「空気亜鉛電池」が2016年5月にも登場する。水を使わずに発電し、家電用のコンセントを外付けで備えた。

» 2016年03月11日 11時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 「長期間の保存後でも、袋から取り出すだけで発電が始まることが、この電池の特徴だ。コンセントが2口付いた付属のインバーターが直流から交流に変換するため、100V対応の家電をつないで利用できる。電池の容量は540Wh、消費電力36WのノートPCなら約15時間動作する」(総販売元であるダブルエー・ホールディングスで顧問を務める西村正男氏)*1)

 同社が扱う「エイターナス(AETERNUS)」は災害時などに役立つことをうたう(図1、図2)。事前の充電は不要であり、開封後3分で利用可能になる。「競合他社製品と比較した場合、容量が大きいこと、利用時に注水が不要なこと、USB接続ではなく直接コンセントが利用できる点に優位性がある」(西村氏)*2)。これはマグネシウム空気電池と比較した発言だ(関連記事1関連記事2)。

 2016年5月から国内の官公庁や企業、家庭向けの販売を予定している。「年間販売台数として10万台を見込んでいる。容量200Whの競合品の価格は、2万円だと聞いている。当社の製品は容量が約3倍だが、価格は3倍以下だ」(同氏)。

*1) 一次電池であるため、充電はできない。14Wのスマートホンの充電では約37時間、20WのLED照明では約25時間、55Wの血液用冷蔵庫では約10時間の利用が可能。
*2) この他、動作温度範囲が−25℃〜60℃と広いこと、有害物質を含まず、アルカリ乾電池と同じように廃棄できることもメリットだという。

図1 「エイターナス」の外観 青い箱が電池本体。インバーター(右側の黒い箱)と専用コネクタで接続する。インバーターの定格出力は300W(ピーク出力600W)、100Vと200Vの交流を供給できる。100円玉とサイズを比較した。
図2 150W出力の小型インバーターと組み合わせた製品もある
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.