日本ブランドが重要な太陽光、トップ企業が狙うスマートエネルギーWeek 2016(2/3 ページ)

» 2016年03月17日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

ソーラーシェアリングも狙う

 展示会場では、農業と発電の両立を狙うソーラーシェアリングなどに向けた多結晶シリコン太陽電池モジュール「DUOMAX(TSM-PEG40.07)」も展示した(図4)。図4のモジュールは太陽電池セルを40枚内蔵し、出力160〜170ワット(W)をうたう。変換効率に換算すると最大10.6%である。

図4 DUOMAX(40セル品)の外観

 ソーラーシェアリングを実現するには、架台上に間隔を広く空けて、小型の太陽電池モジュールを設置することが多い。

 DUOMAXは違う。まず、寸法は同社の他の太陽電池モジュールと同じ1658mm×992mmだ。一般的なモジュールとの違いは、モジュール内のセルの間隔を広く取り、透過光を増やしたこと。もう1つはモジュールの縁にあるフレームを外し、厚さを6mmに抑えたことだ。最後に、太陽電池セルを厚さ2.5mmのガラスで両面から挟み込んだ。

屋根の下で農業ができる

図5 兵庫県養父(やぶ)市と事例の位置

 事例もある。住環境システム協同組合が棒垣集合発電所内試験サイト(兵庫県養父市)に設置したソーラーシェアリング用のDUOMAXだ(図5)。

 同サイトでは木製の柱と梁(はり)*1)を配置し、地上2〜3mの高さに最大出力250W(セルを60枚内蔵)のモジュール(DUOMAX TSM-PEG5.07)を40枚設置した。

 最大出力は10kW。2015年7月に完成し、2015年9月の実発電量は742キロワット時(kWh)。年間発電量9124kWhを見込む。

 2015年の夏季から秋季にかけてトマトやナス、キュウリ、サツマイモを収穫したという。DUOMAXは切れ目がない「屋根」であるため、雨天時に農作業ができることも分かった。

*1) 住環境システム協同組合は、兵庫県産材に防腐処理を施した木製架台を用いた棒垣集合発電所(出力500kW)の発電を2015年3月に開始している。同発電所が用いた太陽電池モジュールはトリナ・ソーラー・ジャパンの製品ではない。

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