材料だけでなく、製造プロセスも改良している。スピンゼーベック熱電変換デバイス用に必要な緻密なフェライトの膜を、従来は約700度の熱処理で成膜していた。これを今回は約90度と低温で成膜している。
熱処理温度が低下することで、熱電素子をプラスチックフィルムなどの表面に作製できるようになる。すなわち、さまざまな形状に加工しやすく、曲げても使えるフレキシブルな素子を開発することが可能になった。
今回の成果について3者は、排熱などからから電力を生み出す発電素子としての実用化に向けて大きく前進した他、熱の流れを測るセンサーとして実用的な感度を達成するめどもついたとしている。
なお今回の成果は、科学技術振興機構(JST)が実施する「ERATO 齊藤スピン量子整流プロジェクト」(研究総括:東北大学 齊藤英治教授、研究期間:2014〜2020年度)の一環として得られたもの。今後3者は熱を大量に排出するプラントやデータセンターなどの建物、自動車などの廃熱から発電を行う熱発電デバイスの実用化に向け、さらなる研究開発を続けていく計画だ。
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