雪国の農業用水路から83世帯分の電力、設備利用率90%以上で安定供給自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年05月06日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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「従属発電」で水利権の手続きが簡単に

 発電設備には北陸精機が富山県立大学と共同で開発した「パワーアルキメデス(高落差圧力管タイプ)」を採用した(図4)。スクリュー型の水車の上部に小型の発電機を備えていて、5メートル以上の落差がある場合に適用できる。

図4 発電設備の主要部分(画像をクリックすると拡大)。右上に見える装置が発電機、その下のコンクリートで覆われた部分に水車がある。左下に見えるのは導水管。出典:洸陽電機

 松川小水力発電所では農業用水路の落差工の脇に発電設備を設置した。上流から取り込んだ水流は導水管を通って水車に送り込む(図5)。スクリュー型の水車が水流を受けながら回転して、上部の発電機を駆動する仕組みだ。

図5 農業用水路の落差工に合わせて設置した導水管。出典:洸陽電機

 発電後の水流は再び農業用水路に戻すため、下流の水量に影響は生じない。このように水量に影響を与えない小水力発電の形態を「従属発電」と呼ぶ。従来は農業用水路を利用した小水力発電でも自治体から水利権の許可をとる必要があったが、2013年12月の河川法の改正によって従属発電の場合には登録するだけで済むようになった。手続きが簡単になったことで全国各地の農業用水路に小水力発電が広がり始めている。

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