固定価格買取制度のルール改正、確定した項目・未確定の検討課題自然エネルギー(2/3 ページ)

» 2016年06月15日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

発電設備の更新・廃止計画も義務づけ

 すでに詳細なルールが確定した項目の第1は、認定制度の申請方法の変更である。従来は発電設備の認定を受けて買取価格が決まった後に、電力会社に接続を申し込んで契約を締結する流れだった。新しい認定制度では接続契約を締結した後でなければ認定を申請できなくなる(図3)。

図3 新しい認定制度の手続きの流れ(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 従来と比べて認定取得までの期間が標準で9カ月ほど遅くなり、認定から発電設備の建設工事に着手するまでのタイムラグが短くなる。特に太陽光発電で問題になっていた認定取得(買取価格決定)から運転開始までの長期化による過剰な買取金額の増加を抑制する効果が期待できる。

 一方で早期に運転を開始したい事業者にとっては、認定取得までの期間が長くなって事業化を判断しにくくなる弊害もある。この問題を解消する対策として、「前倒し申請」を認める。電力会社に接続を申し込むのと同時に認定を申請できて、接続契約を締結した後すぐに認定を取得できる仕組みだ。

 と同時に太陽光発電設備に対しては、認定取得から運転開始までの期限を決めて、その期限を超えた場合には買取価格の引き下げなどを実施する。事業用の太陽光では3年、住宅用では1年を期限に設定する方針だ。期限を超えると、事業用では買取価格の引き下げか買取期間の短縮を実施し、住宅用では認定を失効させる。

 新制度へ移行するのに伴って、2017年4月1日の時点で認定取得と接続契約締結の両方とも完了した発電設備は「みなし認定案件」として認定を受けたものとみなす。ただし新制度では発電設備を適切に運営できることが認定の条件に加わるため、みなし認定案件であっても発電設備の更新・廃棄スケジュールを含めて事業計画を提出しなくてはならない(図4)。

図4 「みなし認定案件」の適用条件(上)、必要な手続き(下)。出典:資源エネルギー庁

 2016年6月30日までに認定を取得した案件のうち、2017年4月1日の施行日までに接続契約を締結できた場合には、6カ月後の9月30日までに事業計画を提出する必要がある。施行日までに接続契約を締結できていない案件は認定が失効してしまう。2016年7月1日以降に認定を取得した案件は接続契約締結から6カ月以内が事業計画の提出期限になる。

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