電力使用量(需要)のデータ通知に遅れが発生している件数は6月7日の時点では合計で約1万8000件だったが、6月16日には約2万1000件に増加した。同様に発電データの通知遅延件数も6月7日の約2万件から6月16日には約2万7000件まで増えている。両方を合わせると3万8000件から4万8000件へ、9日間で未通知の件数が1万件も拡大してしまった(図3)。
電力使用量のデータは検針日から4営業日以内に、発電量のデータは5営業日以内に通知することが、国の電力広域的運営推進機関の基準で示されている。小売電気事業者が需要家に電気料金を請求したり発電による買取金額を通知したりする業務に必要なためだ。しかし東京電力の管内では契約変更を実施した需要家に電気料金を通知できず、事業者に対する不信感にもつながる深刻な事態が生じている。
東京電力はシステムの不具合による需要データと発電データの遅延分を人員を増強して手計算で処理する一方、システムの改修にも取り組んでいるが、現時点では全面解決の見通しは立っていない。
新たにシステムに機能を追加しなくてはならない点も見つかっている。需要家が太陽光発電などで電力を供給した場合の連携処理が実装されていなかった。この連携処理に必要な機能を6月末までに追加する予定だ(図4)。
さらに全体の不具合の原因になっている検針期間の誤りに関しては、計器の取替情報を料金計算の処理プログラムで一致させるための同期機能を加える(図5)。7月末までにプログラムの修正を完了して不具合を解消できる見込みだ。
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