太陽光発電に残る課題、安全指標とパネルのリユース技術を確立へ太陽光(2/2 ページ)

» 2016年06月29日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
前のページへ 1|2       

将来大量に発生する使用済み太陽電池をどうするか

 太陽光発電設備が急速に普及した影響で、将来、関連廃棄物が大量に発生すると想定されている。主な廃棄物の1つが使用済み太陽電池モジュールだ。環境省は2016年4月に太陽電池廃棄物のリサイクルガイドラインを発表したが、これによれば製品寿命を25年とした場合、2020年に約3000トン、2030年で約3万トンの使用済み太陽電池モジュールが発生する見込みだ(関連記事)。安全かつ最適な手順で廃棄していくのと同時に、リサイクルやリユースなどによって廃棄量を削減していく取り組みも重要になる。

 今回NEDOではこうした使用済み太陽電池モジュールに関する技術開発として、新たに2つの研究テーマを採択した。1つが太陽光発電技術研究組合が実施する「On-Siteでのリユースモジュール分別技術の開発」である。これは太陽電池モジュールを解体した現場(オンサイト)で、すぐにモジュールの状態を確認して、リユース可能であるかどうかを判別できるようにする技術だ。このシステムを「移動式PVラボ」と呼ばれるトラックに組み入れ、現場での低コスト分別を可能にし、運搬、梱包コストの低減と分別処理時間の短縮を目指す(図2)。

図2 開発する分別システムと「移動式PVラボ」のイメージ 出典:NEDO

 もう1つはジー・エム・ジーエコエナジーが実施する「使用済み太陽電池モジュールの低コスト修復技術の開発」である。修復すれば再利用できる太陽電池をうまく活用していくことで、廃棄量を削減する狙いだ。

 なお、この2つの研究テーマは既に実施している「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」(2014〜2018年度)の一環として2016〜2018年度に実施予定する計画だ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.