駐車場に太陽光発電を普及させる、エネルギー自給率30%を目指す東京で自然エネルギー(1/3 ページ)

東京都の環境公社が駐車場の屋根を利用した太陽光発電のモデル事業に取り組んでいる。都が所有する海浜公園と給水事務所の駐車場に、構造の違う「ソーラーカーポート」を設置して導入効果を検証中だ。海浜公園では大型のバスでも駐車できる高さ7メートル超のカーポートを建設した。

» 2016年07月11日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京都では2030年までに都内の消費電力に占める再生可能エネルギーの利用率を30%に高める長期目標を掲げている。再生可能エネルギーの中で最も導入しやすいのは太陽光発電だが、都内は空き地が少なくて地価も高いために、導入量を拡大することがむずかしい状況だ。そこで東京都の環境公社が屋外の駐車場に太陽光発電を広める「ソーラーカーポート普及促進モデル事業」に2015年度から取り組んでいる。

 第1弾のモデル事業は東京都が所有する2カ所の施設で実施中だ。それぞれの立地条件や駐車場の利用状況をもとに、ソーラーカーポートの設計から施工完了までの詳細を7月6日に報告書で公開した。

 1カ所目のソーラーカーポートは東京湾岸の埋立地にある「東京都立若洲(わかす)海浜公園」の駐車場に設置した(図1)。この公園では18ホールのゴルフ場を運営しているために、送迎用の大型バスを駐車できることが条件の1つに入っている。

図1 「東京都立若洲海浜公園」の駐車場に設置したソーラーカーポート。出典:東京都環境公社

 ソーラーカーポートを設置して駐車場の利便性が損なわれないように、間口に柱のない構造を採用した。間口の幅は23メートルと広いが、4本の柱だけでカーポート全体を支えている(図2)。三角形を組み合わせた「トラス構造」で、地震や強風にも耐えられる設計を取り入れた。

図2 計画時のパース図。出典:東京都環境公社

 中央部分の高さは7.2メートルある。太陽光パネルを設置した屋根は中央から東向きと西向きに傾斜をつけた。72枚の太陽光パネル(1枚あたりの最大出力250ワット)を搭載して、合計で18kW(キロワット)の発電能力がある。2016年2月9日に着工して3月25日に運用を開始した。発電した電力は全量を公園内の施設で消費する。

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