いきなり導入事例を披露、ブラザーが新規事業で燃料電池市場を開拓へ蓄電・発電機器(1/4 ページ)

ブラザー工業は「第10回 オフィス防災EXPO」で、同社の新規事業製品の第1弾である燃料電池システムを披露した。非常用電源としてすでに複数の導入事例がある他、さまざまな用途向けにカスタマイズしたモデルを用意し、2017年前半から本格的に販売を開始する計画だ。ブースで開発のコンセプトや今後の展開について聞いた。

» 2016年07月14日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 ブラザー工業は(以下、ブラザー)は「第10回 オフィス防災EXPO」(2016年7月13〜15日、東京ビッグサイト)に出展し、2016年7月8日に発表したばかりの燃料電池システムを展示した。既に一部をサンプル販売しているが、本格的な展開は2017年からになるという。既に複数の導入事例もあり、ブースではその内容も披露された。

 開発した燃料電池システムの1つである「BFC2-W700MH」は「発電ユニット」と水素燃料を入れる「燃料ユニット」の2つで構成される(図1)。定格出力はDC12〜21V(ボルト)、最大負荷容量は880W(ワット)、マイナス15〜40度の範囲内で利用できる。電源容量は15.8kWh(キロワット時)である。重量は発電ユニットが78kg(キログラム)、燃料ユニットが41kgだ。

図1 燃料電池システム「BFC2-W700MH」(クリックで拡大)

 120×70センチメートルほどの広さがあれば、2つのユニットを並べて設置できるというコンパクトなシステムである点が大きな特徴だ。同じ給電量のリチウムイオン電池を利用した非常用電源と比較して、体積は6分の1、重さは4分の1になるという。

水素吸蔵合金を活用

 燃料ユニットには、水素燃料ケースを6個収納する構成になっている。水素燃料ケース1個の中には、水素吸蔵合金のボトルが4本入っている。ボトル1本で燃料電池システムを約1時間稼働させられるという。ケース6個(ボトル24本)を全て使うと、丸1日給電できる計算だ(図2)。

図2 燃料ユニットの中の様子(クリックで拡大)
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