太陽電池の研究開発を担う産業技術総合研究所が、難燃性で軽量の太陽電池モジュールを開発した。太陽電池を保護する封止材にシリコーンゴムを採用したほか、表面をガラスから高分子フィルムに、裏面をアルミ合金で構成して重さを約半分に抑えた。車載用や住宅用の製品開発へつなげる。
産業技術総合研究所(産総研)が新しい太陽電池モジュールを開発した目的は、太陽電池の安全性と信頼性を向上させながら、設置できる場所を広げることにある。そのために燃えにくくて、割れない、しかも軽量で簡単に設置できることを目指した(図1)。
工夫した点は太陽電池モジュールを構成する部材だ。市販の太陽電池モジュールは結晶シリコン(Si)の上に半導体を作って発電する方式が主流になっている。従来は合成樹脂のEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)を封止材に使って太陽電池を保護したうえで、表面を強化ガラスでカバーする構造が一般的である(図2)。
これに対して新開発のモジュールは封止材に耐久性のあるシリコーンゴムのシートを採用した。信越化学工業が太陽電池モジュール用に開発したもので、太陽電池の素材になるシリコンを化学反応させてシリコーンを製造する(図3)。シリコーンはゴムに近い性質があるため、柔軟で燃えにくいことが特徴だ。ただしEVAと比べて製造コストが高い難点がある。
産総研と信越化学工業は太陽電池モジュール全体のコストと重量を抑えるために、外側のアルミフレームで太陽電池を固定する方法に代えて、アルミ合金板を裏面の素材に使って太陽電池を固定する方法を採用した。封止材に耐久性の高いシリコーンを使うことで、モジュールの表面も厚いガラスではなくて薄い高分子フィルムに置き換えた。試作したモジュールは同じサイズの従来型と比べて重さが約2分の1に軽くなった。
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