メガソーラーの保守は空から赤外線で、ドローンを活用した遠隔監視サービス太陽光(1/2 ページ)

エナジー・ソリューションズは、ドローンを用いて、メガソーラーのモジュールの全数IR検査を実現するサービスを開始する。

» 2016年09月14日 11時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 2010年創業のエネルギーベンチャーである、エナジー・ソリューションズは2016年9月12日から新たに、ドローン(無人航空機)を用いてメガソーラーのモジュールを全数IR(赤外線)検査するサービス「ドローンアイ」を開始した。

 「再生可能エネルギー特別措置法」の改正(改正FIT法)により、再生可能エネルギーにおける「事業実施中の点検・保守や、事業終了後の設備撤去などの順守」が義務化(関連記事)。同時に保守やメンテナンスの重要性が指摘されるようになった。

 ソーラーモジュール(太陽光発電パネル)の故障原因としてよくあるものに「ホットスポット」と呼ばれる現象がある。これは、製造時のはんだ不良などの不具合や、落ち葉など異物の付着が原因となり、その部分が発熱してモジュールが破損する現象である。ホットスポットにより線が焼き切れた場合にはそのストリング(1系統)で全く発電できないという状況に陥るケースもあり異常発生時に迅速に対処することが重要である。

 ホットスポットとなっている部分は、周辺よりパネル温度が高温になっているため、赤外線(IR)カメラを利用することで発見できる。赤外線カメラの検査により、ホットスポットを早期発見することで、発電量の低下やソーラーパネルの交換コストを抑制することが可能となる。

 しかし、メガソーラークラスでのモジュール全数のIR検査は、コストが非常に高くなり検査結果や報告、対策までに時間がかかることからほとんど実施されない状況だった。これらの課題を解決するために開発されたのが「ドローンアイ」である。

赤外線カメラを載せたドローンを飛ばす

 「ドローンアイ」は、赤外線カメラをドローンに載せ、クラウドコンピューティングと組み合わせることで、ドローンの自動飛行や点検結果の即日共有などを実現するシステムである。2016年4月から、フトバンク・テクノロジー、エナジー・ソリューションズ、サイバートラスト、M-SOLUTIONSの4社で協力して開発を進めてきた(関連記事)。

photo 図1 ドローンアイのシステム構成。特許出願中だという(クリックで拡大)出典:エナジー・ソリューションズ

 2MW(メガワット)クラスのメガソーラーであれば、15分程度でIR検査が可能。また「IR解析ツール」により、現場で即座に確認し対策を検討することができる。さらに検査結果報告書はクラウドで自動作成が可能で登録のメールアドレスに送ることができる。クラウドセンターに保存された検査結果はいつでも履歴を確認できる。検査コストトータルでは、従来のIR検査に比べて約3分の1にコストを低減できるという(図2)。

photophoto 図2 ドローンアイのIR解説ツール画面(左)とクラウドセンターで自動作成される報告書(右) 出典:エナジー・ソリューションズ
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