経済産業省 資源エネルギー庁の調査によると、上越沖において、メタンガス換算で約6億立方メートルの表層型メタンハイドレートが見込まれるという結果を得た。
経済産業省資源エネルギー庁では「海洋基本計画」に基づき、表層型メタンハイドレートの資源量把握に向けて、2013年度から2015年度にかけて調査を実施した。委託先である産総研によると、上越沖の1箇所のガスチムニー構造を対象として資源量の試算を行い、メタンガス換算で約6億立方メートルの表層型メタンハイドレートの存在が見込まれるという結果が得られた。
メタンハイドレート(methane hydrate)とは、天然ガスの主成分でもあるメタンに水が結合したものである(図1)。ハイドレートは「水和物」を意味する。メタンと水の分子が結合して凍った状態になっている。解凍するとメタンガスと水に分解されて、火をつければ燃える。その特性から「燃える氷」と呼ばれている。
日本周辺海域に存在するメタンハイドレートには、表層型と砂層型があるが、今回、日本周辺の海域で確認されたのは、表層型メタンハイドレートの分布が見込まれるガスチムニー構造である。在所数は1742箇所に及ぶ。産総研では掘削調査を実施し、ガスチムニー構造の内部の物性を直接測定するとともに、地質サンプルを取得して、地層に含まれる間隙水の化学成分などの分析や解析を行った。
今回の各種調査を進める過程では、ガスチムニー構造の内部におけるメタンハイドレートの分布が不連続で、広がりの推定が困難であることや、個々のガスチムニー構造毎に内部の様子が多様であることが分かった。そこで試算では、評価の対象を調査海域全体とするのではなく、特定の範囲に限定することにした。
具体的には、同調査を通じて多くのデータが得られていることに加え、2013年度以前の段階で各種の学術調査が最も進んでいて塊状のメタンハイドレートの存在が既に確認されていた場所の1つであった、上越沖の海鷹海脚中西部のガスチムニー構造を示すマウンド地形(「海鷹マウンド構造」、面積約200m×250m、深さ約120mの範囲)を資源量試算の対象とした(図2)。
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