表層型メタンハイドレートの資源量調査、上越沖で6億立方メートル自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年09月30日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]
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メタンガス換算で約6億立方メートル

 3種類の方法を用いて試算を行った結果、掘削同時検層およびコア分析に基づく試算では、海鷹マウンド構造の内部に存在するメタンハイドレートの体積は、いずれもメタンガス換算で約6億立方メートルと算出された。また、海洋電磁探査による試算でも、メタンハイドレートの存在をうかがわせる高い電気抵抗を示す範囲が同オーダーの数億立方メートル程度と概算できた。

 これらの結果を踏まえ、産総研では海鷹マウンド構造の内部にメタンガス換算で約6億立方メートルの量に相当するメタンハイドレートが存在すると推定した。ただ、これらの数値については、メタンハイドレートの原始資源量(存在量)を示すもので、回収技術がまだ確立してない現時点では、エネルギー資源として利用が可能な可採埋蔵量を示すことはできないとしている。また、試算に際しては、限られた掘削地点の情報から空間的な補間作業を行っているため、メタンハイドレートの形状や分布の連続性、地質構造についてある程度の不確実性を伴う。そのため約6億立方メートルとした資源量は一定の幅をもって解釈されるべき値のようだ。

 さらに、今回の調査により、ガスチムニー構造ごとの構造やメタンハイドレートの分布の特徴が不均一であることが分かった。今回の海鷹マウンド構造での試算結果を他のガスチムニー構造に一般化して適用することは難しい状況となっている。

表層型メタンハイドレートの実用化への取り組みを強化

 試算結果について、産総研は表層型メタンハイドレート資源量評価結果検討委員会を設置して、外部有識者による検討を行った。そこでは「3年間で実施した調査として豊富で、かつ重要なデータと解析結果が得られている」「先行研究の情報が蓄積されており、ある程度のメタンハイドレートの集積が見込まれる上越沖の海鷹マウンド構造を対象として資源量の試算を行った判断は妥当」「一定の幅を持って解釈されるべき値として、海鷹マウンド構造で約6億立方メートルの表層型メタンハイドレートの資源量(存在量)と推定」など意見が示された。

 経産省では今後、これらの検討結果などを踏まえ、今後、表層型メタンハイドレートの実用化を目指し、表層型メタンハイドレートの回収技術の調査研究表層型メタンハイドレートを回収するための技術コンセプトの調査研究に着手する。また、表層型メタンハイドレートの賦存状況の解明のための調査回収技術の調査研究の進展に伴って将来的に現場での回収試験などを行う際に必要となる情報を収集しておくため、表層型メタンハイドレートの賦存状況の解明のための調査を産総研と連携しつつ実施する。さらに、3年間にわたり実施した資源量把握のための集中的な調査に関する詳しい報告書については、今後、産総研において最終的な整理を行い、2016年度末頃に公表する予定だ。

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