インドが秘めた力、短期間に最大規模の太陽光太陽光(2/2 ページ)

» 2016年09月30日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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インドが太陽光に賭ける意味

 インドは2013年時点で人口の19%、約2.4億人が無電化地域*3)に暮らしながら、電力需要は年率7%程度増えるという困難な状況にある。これまでは世界第2位の石炭産出国という地位を生かして、火力発電の増設を進めてきた。だが、大気汚染や地球温暖化防止を考慮して、太陽光発電などの再生可能エネルギーに舵を切り替えているところだ。

 現在の目標は2030年までに全国の発電量のうち40%を再生可能エネルギーから得るというもの。インドの目標は非常に高い。なぜなら40%という数字には、出力25MWを超える大規模水力発電を含めていないからだ。

 インドは太陽光発電に特に力を入れている。2016年の導入量は中米日に次ぐ世界第4位となる見込みだ(図2)。

*3) 電化地域であっても電力の利用は限られている。例えば伝統的なバイオマス(木質、炭、牛糞)を調理に利用している人口の比率は、2013年時点で67%(約8億4000万人)と高い。

図2 2016年における国別太陽光発電導入量(推定値) 出典:INDIA SOLAR HANDBOOK 2016

 具体的な太陽光発電の導入計画は、インド中央政府ではなく各州が主導権をもって組み立てている。

 図3にインド再生可能エネルギー省(MNRE)がまとめた全国の計画を示す。ここには全29州のうち21州の計画が示されている。図中の33カ所の太陽光発電所計画を合計した容量は19.9ギガワット(GW)。タミルナードゥ州では今回のラーマナータプラム県の計画(青枠)が示されている。今回の計画が中央政府の集計よりも大規模となり、素早く立ち上がったことが分かる。

 このような州政府の計画に複数の企業が追従している。例えばAdani Green Energyを擁するAdani Groupだ。Adani Groupは2015年6月、今回の太陽光発電所についてタミルナードゥ州と契約を締結、同時に今後の計画を発表している。2022年までに10GWの太陽光発電所を完成させることが目標だ。

 計画発表時には、インド国内で最も太陽光発電に積極的なインド北西部のラジャスターン州内での事業計画も明らかにした。同州と折半出資で合弁企業Adani Renewable Energy Park Rajasthanを形成、合計5GWの太陽光発電所を立ち上げる。

図3 インドにおける大規模太陽光発電所の計画 オレンジ色:容量割り当て済み、または入札中のもの、空色:地域未定のもの 出典:INDIA SOLAR HANDBOOK 2016
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