「コーチン国際空港(Cochin International Airport)」はインド南部のアラビア湾に面した空港で、1999年に官民連携プロジェクトによって誕生した。現在は国際便の旅客数でインド第4の空港に発展している。インド国内で初めての「エコ空港」を目指して2013年から太陽光発電の導入に取り組んできた。
過去2年間に1.1MW(メガワット)の太陽光発電設備を運転してきたのに続いて、新たに空港内にある45エーカー(約18万平方メートル)の敷地に12MWのメガソーラーを稼働させた(図1)。合計すると1日あたりの発電量は5万2000kWh(キロワット時)になる見込みで、空港が1日に使用する電力量の4万8000kWhを上回る。
空港を運営するCIAL(Cochin International Airport Limited、略称CIAL)によると、太陽光発電だけで運営できる世界で初めての空港になる。年間の発電量は1800万kWhに達して、インド国内の家庭の使用量に換算して1万世帯分に相当する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は16%を超えて、日本よりも日射量が多いインドならではの高い効率を発揮する。
新たに建設したメガソーラーの太陽光パネルには中国レネソーラ(Renesola)社の265W(ワット)の多結晶タイプを採用した(図2)。パワーコンディショナーは1台の容量が1MWで、スイスに本拠を置く電力装置メーカー大手ABBの現地法人であるABB India社が製造した。
発電設備は従来の分を含めてSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition、コンピュータによるシステム監視とプロセス制御)の仕組みで遠隔から管理する。空港内の土地のほかに建物の屋根の上にも発電設備を設置している(図3)。
コーチン国際空港では昼間に発電した電力の余剰分を蓄電池などに充電せずに、地域の電力会社に売電する。夜間や天候が悪い時には電力会社から購入して必要量を満たすシンプルな方法をとる。
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