政府は2017年度から実施する太陽光発電を対象にした入札制度の詳細設計に入った。第1回目の入札を10月に実施する予定で、入札量や上限価格をまとめた指針を2月に公表する。ヨーロッパの先進国では買取価格の引き下げ効果に差が見られることから、各国の実績を参考に入札制度を設計する。
2012年7月に開始した固定価格買取制度は再生可能エネルギーの導入量を拡大するうえで極めて大きな効果を発揮した。制度開始から4年間に運転を開始した発電設備は3000万kW(キロワット)を超えて、発電能力では大型の原子力発電所の30基分に相当する規模になった(図1)。
とはいえ全体の95%を太陽光発電が占める状況で、天候に左右される不安定な電源ばかりが増大してしまう懸念が高まっている。特に事業用(非住宅)の太陽光発電の導入量が多く、政府は過去4年間にわたって買取価格を大幅に引き下げてきた。それでも2016年度の買取価格は24円で、火力発電の市場価格と比べて2倍以上の開きがある。
こうした問題点を解消するために、2017年度から固定価格買取制度を抜本的に改正する。大きな変更点の1つが入札制度の導入だ。国内では初めて太陽光発電を対象に入札制度を導入する。所管の資源エネルギー庁は10月24日に開催した買取価格の検討委員会で素案を提示した(図2)。
第1回目の入札を2017年10月上旬に実施する想定で、それに向けて2月上旬には実施方針を公表する。実施方針には入札の対象になる発電設備の区分をはじめ、入札量(募集容量)や上限価格、調達(買取)価格の決定方式や調達期間を規定することになっている(図3)。
当初は発電事業者にも準備期間が必要になるため、2018年度に実施する第2回と第3回を合わせて3回分の実施方針を提示する予定だ。第1回の実施結果をもとに第2回・第3回の実施方針を改訂する可能性も織り込む。2019年度以降は年に2回の入札を原則にする。
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