石炭火力の副産物で環境改善、中国電力の新設備が稼働:エネルギー管理(2/2 ページ)
三隅発電所の製造設備では、年間に6万立方メートルのHiビーズを生産する計画だ。Hiビーズは粒内部に微細な孔を持つ。そのため、「砂より軽い」「吸水性が高い」「表面積が大きい」などの特徴がある。さらに粒どうしの隙間が大きいため通水性が高く、ヘドロ化した底泥にHiビーズ浸透柱を打ち込むと、水の循環を促し貧酸素を緩和してくれるといった効果が見込める。
さらに優れた吸着性も有することから、ヘドロから発生する悪臭の原因となる硫化水素、赤潮の原因になる窒素・リンの水中への溶出を抑制するといった用途にも適している。こうして活用することで、バクテリアや貝類などの生物が増えることでヘドロに含まれる有機物の分解が促進され、周辺環境に与える影響を軽減できるという(図2)。
図4 Hiビーズの活用例 出典:中国電力
Hiビーズはこうした環境修復機能が注目され、広島県の太田川派川や福山内港、鳥取県・島根県の中海などの環境修復材として公共土木事業に活用されている。
中国電力の2015年度における廃棄物発生量は96.9万トンで、このうち再資源化量は95.6万t、再資源化率は98.6%となっている。この廃棄物発生量のうち、約66%を石炭灰が占める。同社では今回のように廃棄物の再利用の効率化を推進することで、事業活動で排出する廃棄物の再資源化率を2020年度に99%以上に高める計画だ。
- 火力発電の石炭灰を復興用の盛土に、福島県で6月から製造開始
東北電力は石炭火力で日本最大級の発電設備を運転する「原町火力発電所」に、石炭灰から土を製造する装置を導入する。復興で必要な盛土の材料に使えるように、6月から製造を開始して、8月中に販売を始める予定だ。年間50万トンにのぼる灰の1割を盛土の材料に利用する。
- バイオマスボイラーから出る焼却灰、泥炭地域の水はけ改善に有効活用
水はけの悪い泥炭地域にある農地などでは、暗渠(あんきょ)という地下に埋設した水路を利用して土中の余分な水分を排水する場合がある。日本製紙はバイオマスボイラーから排出される焼却灰セメントを加工して、暗渠に有効活用する取り組みを行っている。
- 石炭火力をクリーンにする「バイオマス混焼発電」
燃料費が安い石炭火力発電に注目が集まっている。最大の課題はCO2排出量が多いことだが、よりクリーンな石炭火力発電を実現する方法が増えてきた。そのひとつが「バイオマス混焼発電」で、木質などのバイオマスを石炭に混ぜて燃料に利用することでCO2排出量を削減する。
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東北電力と東京電力が共同で運営する福島県の石炭火力発電所に木質バイオマスを混焼する設備が完成した。中国から林地残材などを加工した木質ペレットを輸入して石炭と混焼する。混焼率は3%で3月上旬に試運転を開始する予定だ。震災で中断した工事が完了して運転にこぎつける。
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