太陽光を除くと風力・中小水力・地熱の発電設備は地方に多い。風力発電では秋田県の由利本庄市と秋田市が1位と2位を独占した(図6)。この2つの市の日本海沿岸部では20カ所を超える風力発電所が稼働中だ。まだ運転を開始していないプロジェクトを加えると、2つの市を合わせて36万kWの発電規模になる。
第3位の島根県・浜田市では「ウインドファーム浜田」が2016年6月に運転を開始している。市内の丘陵地帯に合計29基の大型風車を設置して、発電能力は4万8000kWに達する(図7)。年間の発電量は8500万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると2万世帯分を大きく上回る。
中小水力でも地方の市町村が上位を占める(図8)。第1位の北海道・夕張市では2万8470kWの水力発電所が2015年4月に運転を開始して導入量が一気に拡大した。第3位の岐阜県・揖斐川町には「徳山水力発電所」が2万kW級の発電能力で2014年5月に稼働している。
第4位に入った岩手県・奥州市ではJ-Power(電源開発)と岩手県が共同で「胆沢(いさわ)第一・第三発電所」を2014年7月に稼働させている(図9)。同じ建屋の中に3基の発電機を備えて、合計で1万5700kWの発電能力がある。
地熱では秋田県・湯沢市で建設中の「山葵沢(わさびさわ)地熱発電所」の規模が圧倒的に大きい。山深い火山地帯に地熱資源の生産基地と還元基地を設けて、地下から蒸気と熱水をくみ上げて発電に利用する(図10)。4万2000kWの発電能力で2019年5月に運転を開始する予定だ。
対照的に燃料を必要とするバイオマス発電設備は臨海工業地帯を抱える都市部に多い。導入量が第1位の神奈川県・川崎市では「京浜バイオマス発電所」が2015年11月に東京湾岸で運転を開始した。発電能力は4万9000kWで、国内で稼働中の木質バイオマス発電所では最大だ(図11)。
年間の発電量は3億kWhにのぼり、一般家庭で8万3000世帯分の電力を供給できる。再生可能エネルギーの発電設備が少ない首都圏にあって、CO2(二酸化炭素)を排出しない電源として価値は大きい。臨海工業地帯の立地を生かして、海外から輸入する木質ペレットやパームヤシ殻を燃料に利用する。
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