バインド式蓄電池システムの性能を評価するため、鉛蓄電池だけ、リチウムイオン蓄電池だけの場合を用意。3種類の電池の特性を比較した。
用意したのは出力電圧24ボルト(V)、容量40アンペア時(Ah)のリチウムイオン蓄電池サブモジュールと、12V、38Ahの鉛蓄電池。バインド式蓄電池システムでは、鉛蓄電池2台を直列接続し、この2台をリチウムイオン蓄電池と並列接続した。
次に25℃環境下で、バインド式蓄電池システムの電圧が28.8Vに達するまで0.2Cの定電流で充電した。その後、定電圧充電に切り替え、あらかじめ定めた電流値に達するまで維持した。これで充電は完了した。
その後、−35℃、−30℃、−10℃、0℃、10℃、25℃環境に12時間置いた。これが実験の初期条件である。残りの2つの蓄電池も同じ条件に置いた。
実験の後半では、充電した電力(放電容量)の何%を実際に放電できたかを調べた(放電率)。
すると、−10℃から25℃の範囲ではどの電池も同じ傾向を示した。−10℃では容量の90%を放電でき、25℃では100%放電できた。
大きな違いが現れたのはそれよりも低温の領域だ。−30℃ではリチウムイオン蓄電池の放電率は0%、鉛蓄電池でも40%まで低下した。ところが、バインド式蓄電池システムは70%以上の値を示した*3)。
*3) リチウムイオン蓄電池は−25℃でも放電できなかった。−20℃の場合、放電率はそれぞれ約30%、約70%、約80%だった。
バインド式蓄電池システムの優位性は何に由来するのだろうか。−25℃における放電曲線を分析したところ、放電当初は鉛蓄電池サブモジュールがほとんどの電流を供給し、次第に温度が上昇、放電後期には熱を得たリチウムイオン蓄電池サブモジュールがほとんどの電流を供給していた。2種類の電池が相互に自律制御した結果だと結論付けた(図3)。
リチウムイオン蓄電池単体でも、低温環境下で利用することは可能だ。ただし、蓄電池部に加熱機構を取り付けたり、保護回路を工夫する必要がある。このような部品が必要ないバインド式蓄電池システムには、コスト優位性があるとした。
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