太陽光発電の電力を無駄に捨てない、電力会社の出力制御に自動で対応蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2017年02月16日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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九州本土で出力制御の可能性が高まる

 全国各地で太陽光発電設備が急速に増えたため、政府は2015年1月に東京・中部・関西電力の管内を除く7つの地域を対象に出力制御ルールを設けた。新たに太陽光発電設備を送配電ネットワークに接続する場合には、出力を制御できる機器を設置することが条件になった(図3)。

図3 太陽光発電設備に対する出力制御ルール。出典:資源エネルギー庁

 すでに九州電力は離島の種子島などで出力制御を何回も実施している。九州の本土でも太陽光発電設備が拡大した結果、2016年のゴールデンウイークには太陽光発電の供給量が大きく変動して需給バランスに影響を与える事態が発生した(図4)。その後も太陽光発電設備が増えている状況を想定すると、いよいよ2017年内に九州本土で出力制御を実施する可能性が高まる。

図4 九州本土の需要と供給力(2016年5月4日の状況、画像をクリックすると拡大)。出典:九州電力

 出力制御には2通りの方法がある。1つは発電事業者が電力会社から電話やメールで指示を受けた後に、発電設備の設置場所に出向いて手動で停止する。もう1つは電力会社のサーバーと発電事業者の出力制御ユニットが情報をやりとりして自動で制御する方法だ(図5)。

図5 出力制御を実施する方法(画像をクリックすると拡大)。出典:九州電力

 電力会社は前日の17時くらいをめどに、出力制御の対象になる発電設備と制御量・時間帯を決めて発電事業者に連絡することになっている(図6)。自動制御の場合には出力制御の時間帯に限定して発電を停止できるが、手動になると前後の時間帯まで停止期間が延びてしまう。それだけ売電収入が減ることになる。

図6 出力制御の指示・実働の標準スケジュール。出典:九州電力

 九州本土で出力制御を実施する可能性が高まってきたことに加えて、2017年4月に施行する「改正FIT法」では太陽光発電設備の保守点検・維持管理を設備認定の要件に盛り込んだ。NTTスマイルエナジーはエコめがねに出力制御の機能を拡充しながら、全国各地で遠隔監視サービスの利用者を拡大する戦略だ。

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