始まった首都圏ガス競争、ニチガスはIT活用で東京ガスに価格勝負電力供給サービス(1/2 ページ)

2017年4月から始まる都市ガスの小売り全面自由化に向け、各社の動きが活発になってきた。東京電力と“対東ガス連合”を組むニチガスが、料金メニューを発表した。標準家庭で東京ガスの一般ガス料金より最低でも3.6%、最大で28.6%安くなる料金メニューを用意した。

» 2017年02月21日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 「やっとスタート地点に立てたという思いでいっぱいだ。簡単な挑戦ではないということは十分に分かっているが、精一杯期待に応えられるようにやっていきたい。都市ガスのトップ企業(東京ガス)に挑戦するリスクを取り、今までにない都市ガス事業を目指したい」

 2017年4月から始まる都市ガスの自由化で、東京電力ホールディングス(以下、東京電力)との連合体制で、東京ガスの牙城である関東市場に挑むニチガス(日本瓦斯)。代表取締役社長を務める和田眞治氏は、2月20日に家庭向けの都市ガス料金プランを発表した記者会見の冒頭で、こう意気込みを語った。

会見に登壇したニチガス 代表取締役社長の和田眞治氏

従量料金を5%、組み合わせで最大28.6%安く

 ニチガスが販売する家庭向けの都市ガスの料金プランは、シンプルに1種類のみ。「プレミアム5+プラン」の1本勝負だ。東京ガスの一般ガス料金より、使用量に応じて支払う従量料金の基準単位料金を5%安く設定した。

 加えて、さまざまな割引サービスを用意している。まず、先行キャンペーンとして2017年3月末までに申込を行うと初回請求額から2000円を割引く他、新規契約の特典としてガス器具をニチガスから購入すると5000円を割引く。また、ビットコインで支払いを行ったユーザーには、月々100円、年間1200円の割引きを行う。

 都市ガスに先行する電力自由化では、協業によるさまざなセット割引メニューも話題を読んだ。ニチガスも都市ガスと他のサービスを組み合わせたセット割引を展開する。

 現時点で用意したセット割プランは2つ。1つ目は宅配水サービスのアクアクララとの提携によるもので、宅配水を同時契約すると月額300円を割引く。2つ目がNTT東日本・西日本との提携で展開するインターネット光回線「ニチガス光」とのセット割だ。こちらも同じく同時契約で3600円を割引く。なお、ガス供給で提携する東京電力の電気料金プランを組み合わせたセット割メニューの展開についても「準備している」(和田社長)としており、この他にも新電力やケーブルテレビ、通信会社などの異業種との連携も進めてプランを拡充していく計画だ。

 さらに、ガス使用量の多い家庭向けのキャッシュバックも用意。12カ月の間に600m3以上ガスを使用すると、3000円を上限に1m3当たり3円を13カ月目の請求額から割引く。

 これら全ての割引サービスを適用すると、年間384m3の都市ガスを使用する標準家庭の場合、東京ガスの一般料金より最大で28.6%安くなる計算だ。切り替えるだけで最低でも3.6%は安くなるという料金構成になっている。この他、生活回りの駆けつけやガス器具の保安サービスなど、付帯サービス面でも東京ガスに対抗できるプランを拡充した。ニチガスは2017年度に都市ガスで11万件の顧客獲得を目指す計画だ。それに伴い、テレビCMなど認知向上のためのプロモーションにも注力する。

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