和田社長は今後の展望として、以前から掲げているプラットフォーム戦略の重要性を強調した。ニチガスと東京電力は都市ガス販売に必要な機能やノウハウを融合するプラットフォームを構築する方針を打ち出している。
「独占企業の独占価格を排除するだけが自由化の目的ではない。異業種の連携による新たなイノベーションを起こし、価値のあるプラットフォームを作っていかなければ意味がないと考えている」(和田社長)
このプラットフォームの一角を担っているのが、ニチガスが「雲の宇宙船」と呼ぶ独自に開発したクラウド型の基幹業務システムだ。ニチガスは以前からガス業務におけるIT活用を進めて、業務の効率化およびコスト削減に注力している。東京ガスの一般ガス料金より安く設定した都市ガス料金も「『雲の宇宙船』による業務改革が大きく寄与している」(和田社長)という。ビットコイン決済への対応も、こうしたIT活用の一環だ。
こうしたプラットフォームを軸に、ニチガスは新たに市場に参入する異業種との連携を強化していく考え。和田社長は「今回発表した都市ガスの料金プランにもまだまだ満足していない。より効率的を目指し、ITベンチャーと組みながら(料金を下げる)努力をしていく」と語った。
ニチガスはこれまで都市ガスの供給について全量を東京ガスと契約していたが、2016年5月から東京電力に切り替えた。東京ガスから見れば、都市ガスの卸供給先にいるエンドユーザーを奪われたかたちだ。
一方、その東京ガスは2月上旬に埼玉県でLPガス販売を手掛けるサイサンとの提携を発表するなど、こちらも事業基盤の拡充を図っている。東京電力は2017年7月から都市ガスに参入する予定だが、連合するニチガスが動き出したことで、東京ガスが持つ約1100万の顧客獲得に向けた競争がいよいよ本格化する。
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