11万5600戸に及んだ2月の停電、その原因と再発防止策電力供給サービス

中部電力は2017年2月21日に上越火力線が停止し、約11万5600戸の停電が発生したことについて、その原因と再発防止策を発表した。ギャロッピング現象で短絡したと推定している。

» 2017年05月12日 09時00分 公開
[庄司智昭スマートジャパン]

上越火力線の停止による停電の原因を発表

 新潟県上越市の上越火力発電所、長野県長野市の新北信変電所を結ぶ「上越火力線」。2017年2月21日、上越火力線(27万5000V)が停止したことで、約11万5600戸の停電が発生した。中部電力は2017年5月10日、同停電の原因と再発防止策を発表した。

 中部電力では停電当日の気象状況や電線揺動の解析結果から、新潟県妙高市内の鉄塔間の1号線と2号線が「ギャロッピング現象」により接近し、短絡(ショート)したと推定している。ギャロッピング現象とは雪や氷が電線に付着した状態で風を受けた際に、付着した氷が飛行機の翼の役目をして、電線が上下運動する現象のことを指す。これにより一時的に大量の電流が流れる短絡が起こると、送電設備の故障につながる。

 停電が発生した2月21日は一時的に強い冬型の気圧配置となり、吹雪になっていたという。21日午前0時頃から22日正午頃まで外気温は氷点下で、北〜北西の強い風が継続的に吹いていたことも考えられている。このような環境下で、過冷却水*)を含む空気が吹きつけられたことにより、電線への着氷が発達したと分析している。

*)過冷却水:外気温が0℃以下でも氷にならず、液体として存在している状態の水。

上越火力線の故障箇所 (クリックで拡大) 出典:中部電力

 また電線損傷が発見された径間について、着氷した電線揺動も解析。その結果、1号線および2号線の電線損傷位置が特定の電線着氷状態と風速において、電線間で短絡故障が発生する距離まで近づく場合があることを確認したとする。

 中部電力ではギャロッピング対策として、電線損傷が発見された径間と同事象が発生する可能性のある4径間にルーズスペーサを設置する。片側電線把持部が回転可能な構造を有することで、揚力特性が変化しギャロッピング現象を抑制する狙いだ。

 2017年11月末までに設置するとしており、中部電力では「今回取りまとめた再発防止対策を実施することで、同様の事象が発生しないよう取り組む」とコメントした。

再発防止対策 (クリックで拡大) 出典:中部電力

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