大和ハウス工業とファミリーネット・ジャパンは、IoT技術を活用した「エコキュート」の制御サービスを開発した。高圧一括受電サービスを導入するマンションに対して、生活リズムごとに分類されたグループのエコキュート稼働時間を最適制御することで、電力負荷の平準化を目指す。
大和ハウス工業と東京電力グループのファミリーネット・ジャパン(FNJ)は2017年5月、IoT技術を活用した「エコキュート」の制御サービスを開発したと発表した。
同サービスは高圧一括受電サービスを導入するマンションで、生活リズムが類似する居住世帯をグルーピングし、グループごとのエコキュート稼働時間が分散されるように制御するものだ。これにより、マンション全体の電力負荷の平準化を目指す。
「省エネ法 住宅事業建築主の判断基準 算定用 Webプログラム 1.2.6」によると、オール電化を採用している一般家庭の電力使用量において、エコキュートが占める割合は平均25%となっている。世帯ごとでは省エネや省コスト性を持ち合わせているが、マンション全体では電気料金の安い夜間に多くの世帯のエコキュートが稼働しているため、深夜の電力使用量が一時的に増大するといった問題が発生しているという。
両社はIoTを活用して、マンション各戸のエコキュートを遠隔操作で最適制御することで、マンション全体の電力負荷を平準化できると想定した。大和ハウス工業の総合技術研究が持つ戸建住宅におけるエコキュートの稼働情報や遠隔制御の効果に関するデータと、FNJがネットワーク上に蓄積した電力使用データを組み合わせたとする。
具体的には、マンション向けエネルギー管理システム(MEMS)とエコキュートを、スマートハウス用の通信プロトコル「ECHONET Lite」で接続し、エコキュートの稼働データをMEMSに集約。集約したデータはFNJのサーバに30分ごとに蓄積され、生活リズムごとに居住世帯をいくつかのグループに分類する。各グループの構成は蓄積されたデータを基に、エコキュートの使用状況から適宜変更することも検討するようだ。
これにより各グループのエコキュートの稼働時間が分散されるよう制御を行うことで、マンション全体の電力負荷を平準化し、ピークシフトの実現を目指すという。
同サービスで削減できたコストは、マンション内でのイベント開催や防災グッズの更新費用など、入居者に対して還元される予定。なお同サービスは、経済産業省が推進している「VPP(バーチャルパワープラント)構想」にも準拠する仕組みとした。
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