蟹江氏らの研究グループは、イギリス シェフィールド大学のGoran Ungar氏らとの連携により、小角X線散乱測定と呼ぶ手法により詳細に微細構造を解析した。
その結果、デンドロン修飾CdS量子ドットは最も非対称性の高い液晶性立方晶構造(P213構造)を形成していることが明らかになったという(図2)。P213構造は中心対称のない特殊な構造で、その構造に由来したさまざまな機能発現が期待されている。
またCdS量子ドットがP213構造を形成すると、外部からの紫外光照射によってCdS量子ドットの内部に生じた光励起エネルギーがほぼ全てCdS量子ドットの外側に存在するデンドリマーにエネルギー遷移することで、CdS量子ドットのフォトルミネッセンスの発光強度を自在に制御できることを「初めて見いだした」とする。
このように外部の光エネルギーを電子のエネルギーとして変換することは、太陽電池やLEDの高性能化につながる可能性があるだけでなく、外部の温度変化により発光強度が変化することから熱履歴センサーなどの開発につながることが期待できるとした。
なお今回の研究成果は蟹江氏とGoran Ungar氏の他、東北大学 多元物質科学研究所の松原正樹氏(博士)、村松淳司氏(同研究所所長)、秩父重英氏(教授)および九州大学 先導物質科学研究所の玉田薫氏(教授)らによるものである。
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