これからの太陽光発電、「デューデリジェンス」が事業の明暗を分ける改正FIT時代の太陽光発電事業のポイント(1/2 ページ)

2017年4月から施行された改正FIT法。長期的な事業計画の策定や適切な運用保守が求めるようになるなど、太陽光発電事業を取り巻く環境は大きく変化した。こうした中で、今後の太陽光発電事業を成功させるためるには、どういった点に注意する必要があるのか。横浜環境デザインが解説する。

» 2017年07月03日 07時00分 公開

 2017年4月1日より新しい「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度」(通称:改正FIT法)が施行されたことを受けて、「設備認定」の概念が大きく変わった。これまでは発電設備の運転効率など、設備そのものについて国が認定を出すものであったが、改正FIT法では、運転開始から廃止までの事業全体の計画について認定を出すという仕組みになり、名称も「事業計画認定」に変更となった。

 つまり、「とりあえず認定を取得しておこう」といった申請はできなくなり、きちんと系統連系ができるのか、事業を計画するエリアでは連系制限がかかっていないか、その発電所は事業性があるのかなど、事業の確実性をクリアにしなければ認定を取得することができなくなった。ある意味、事業に対する真剣度について、資金や部材の調達も含めて問われることとなった。

 このような認定基準の変更を受けて、旧制度と新制度では、申請の手順も変わった。今までは先に設備認定を取得してから送配電事業者と電力の接続契約を結べばよかった。しかし、新制度では接続契約の締結後に、国が認定を出すという流れに変更された。これは先に述べた、「事業の確実性」を計るための一つの方策であるといえる。

改正FIT法に基づいた太陽光発電事業の流れ(出典:資源エネルギー庁「改正FIT法に関する直前説明会」資料より抜粋)

 また、以前から存在する「再生可能エネルギー発電設備の条件付認定に関わる申立書(以下、申立書)」も無視できない。認定が降りてから180日以内(2015年4月1日以降の認定取得設備については270日以内)に、土地や発電設備(パネルなど)の確保が完了した証明書を提出しなければ認定自体が失効するというものだ。

 新制度で認定を受けた設備については、買い取り単価を維持したままパネルの変更を行えるようになったが、変更した場合には再度申立書を提出する必要がある。さらに、新制度で認定を受けた設備は認定取得後3年(10kW未満の場合は1年)以内に運転を開始しなければならず、期限を超過した場合は、調達期間の短縮措置が取られることになる。

 特高の場合などは建設に長期間を要することとなるため、特に注意が必要である。旧制度で認定を取得した場合でも、2016年8月1日以降に送配電事業者と接続契約を締結した設備については、新制度の下で認定を受けたものとみなされるため、パネルの変更を行うことができるが、同様の注意が必要だ。

 また、2016年6月時点で未稼働案件は51GW(ギガワット)あったが、改正FIT法によって実際に事業化できない発電所を一掃する動きがあり、未稼働案件のうち20GWは認定が取り消されると予想されている。

 認定が取り消されては困るというので、弊社にも多くの問い合わせが入っている。改正FIT法以前にとりあえず認定だけをとったもので、買い取り価格も32円や36円(現在は21円)と高額なもの多い。だが、実際に事業計画地に調査に行ってみると、さまざまな問題があり、事業化は難しいという場合も少なくない。

 こうした問題を避けるために有効手法の1つが、事前のリーガルチェックだ。横浜環境デザインでは太陽光発電所を建設する土地を購入する場合、事前に以下の項目について、リーガルチェックを行うようにしている。

リーガルチェックの項目。この他、各種条例関係、景観条例、農地転用許可なども参照する(資料提供:横浜環境デザイン)
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