NEDOは、深度5キロ程度に存在する約500℃の「超臨界水」を利用した、地熱発電の実現可能調査に着手する。大規模な再生可能エネルギーとして期待される次世代の地熱発電方式で、政府が目標とする2050年以降の実現に向け第1歩を踏み出した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、再生可能エネルギー源として期待される、超臨界地熱発電技術について実現可能性の調査に着手すると発表した。
NEDOは深度5キロ程度に存在する約500℃の超臨界水を用いた地熱発電、超臨界地熱発電に関する先導研究を実施してきた。この先導研究を含む最近の研究成果から、一定の条件を満たす火山地帯の3〜5キロの深部には、約500℃の超臨界水(純水の場合温度374℃、圧力22MPa以上の状態)が存在すると推定されている。超臨界地熱発電は、従来よりも高温高圧の地熱資源を活用する発電方式であり、1発電所あたりの大出力化が期待されるという。
超臨界地熱発電技術は、2016年4月の内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が掲げる「エネルギー・環境イノベーション戦略(NESTI2050)」の中で、革新技術の1つに位置付けられている。NESTI2050が示すロードマップでは、2050年頃の普及を目指して、実現可能性調査、試掘のための詳細事前検討、試掘、試掘結果の検証と実証実験への事前検討、実証試験の5つのステップが組まれている。
今回、NEDOはこのうちの最初のステップにあたる実現可能性調査を実施するもので、調査内容は以下の4項目。
超臨界地熱資源の開発を想定し、掘削工事や人工貯留層造成時に発生が予想される懸念事項(例えば、地震、温泉影響、地熱流体の暴噴など)についてリスク評価を実施する。事業の名称は「地熱発電技術研究開発/地熱発電の導入拡大に資する革新的技術開発 超臨界地熱発電技術の実現可能性調査」で、委託予定先は、グループ1が産業技術総合研究所、東北大学、東京大学、九州大学、地熱エンジニアリング、地熱技術開発、帝石削井工業、テルナイト、富士電機、リナジス、AGCセラミックス、金属技研。グループ2がエンジニアリング協会、京都大学、伊藤忠テクノソリューションズ。事業予算は約2億円。
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