日本で洋上風力発電を広げるためには、施工コストの低減が必須だ。NEDOは新たに洋上風力発電システムの低コスト施工技術に関する調査研究5テーマに着手すると発表。発電コストを構成する資本費(CAPEX)、運営費(OOPEX)の低減を目指す。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、日本の洋上風力発電の導入拡大に向けて、洋上風力発電システムの低コスト施工技術に関する調査研究5テーマに着手すると発表した。
今回の事業では、日本の海底地形・地盤に適した基礎構造の施工技術や洋上での工期を短縮する施工技術、さらにこれらの技術により波及する維持管理について、コスト低減効果を検討するとともに、水槽試験やシミュレーションにより技術的妥当性の評価を行う。これにより低コスト化を実現する先進的施工技術を抽出し、発電コストを構成する資本費(CAPEX)、運営費(OOPEX)の低減を目指す。
欧州では、過去10年間に風力発電産業の成熟および発電コストの低減が一体となって洋上風力発電の導入が大幅に進んだ。NEDOによると、2016年末までに12.6GW(ギガワット)が導入されている。今後も欧州ではさらに発電コストの低減が進み、洋上風力発電の導入拡大が進むと予測されている。風車本体、設置、基礎構造などのコスト低減効果を積算すると、2011年ベースで2020年には全体で約40%のコスト低減が可能との試算も報告されているという。
一方で、日本では、洋上風力発電の導入事例として、NEDOが銚子沖と北九州市沖に沖合の着床式洋上風力発電計2基を設置したところだ。今後、国内で導入計画中のウィンドファームが10件以上存在しており、それらを全面的に商用化の軌道にのせるためには、導入障壁となる発電コストの低減に関する技術開発並びに市場の拡大を推進していくことが不可欠となっている。
NEDOは今回、日本の洋上風力発電の導入拡大に向けて、発電コストを構成する資本費、運営費を対象とした洋上風力発電システムの低コスト化に資する施工技術の調査研究に着手する。具体的には、日本の海底地形・地盤に適した基礎構造、洋上での工期を短縮し得る洋上施工技術、これらの提案技術により波及する維持管理などのコスト低減効果について、風力発電事業者や建設請負事業者などと共同で、検討・評価を行う。
評価にあたっては、水槽試験やシミュレーションなどにより技術的妥当性を評価する予定だ。さらに既存の施工方法とのコスト比較を実施し、日本の洋上風力発電市場の低コスト化に資する先進的な技術を抽出する予定にしている。
事業名は「風力発電等技術研究開発/洋上風力発電等技術研究開発/洋上風力発電システム実証研究(低コスト施工技術調査研究)」で、事業期間は2017年度。委託予定先は次の通り。吉田組、日本海洋掘削、ジャパンマリンユナイテッド/日立造船、京都大学、東洋建設/東京電力ホールディングス、大林組、東電設計、日立製作所、東京大学/九州大学、前田建設工業、グローカル、寄神建設/電源開発、海上・港湾・航空技術研究所、新日鉄住金エンジニアリング、五洋建設、ひびきウインドエナジー。
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