石炭火力にバイオマスを混焼、年間20万tのCO2抑制に:エネルギー管理
大阪ガスの関連会社が運営する「名古屋第二発電所」が営業運転を開始した。石炭に熱量比30%でバイオマス燃料を混焼する。
大阪ガスは関連会社の中山名古屋共同発電が、火力発電所「名古屋第二発電所」(愛知県武豊町)の営業運転を2017年9月2日に開始したと発表した。バイオマス燃料混焼方式を採用しているのが特徴の発電所だ。
名古屋第二発電所では、ベースとなる石炭燃料に木質ペレットなどのバイオマス燃料を熱量比30%で混焼する。これによりCO2の排出量を年間約20万t抑制する。また、隣接地では同じくバイオマス燃料混焼方式を採用している「名古屋発電所」が操業しており、こちらのノウハウを活用した効率的な操業を行う方針だ。
混焼する木質ペレット(左)と「名古屋第二発電所」の外観(右) 出典:大阪ガス
名古屋第二発電所の設備としてはボイラー、蒸気タービン、発電機、燃料運搬・貯蔵設備、環境対策施設など一式を完備。燃料は石炭、木質バイオマスの他、助燃用として灯油を用いる。冷却方式には工業用水による冷却塔方式を採用している。
なお、中山名古屋共同発電の株主構成は、大阪ガスの100%出資会社で電気供給事業等を展開するガスアンドパワーが95%、中山製鋼所が5%となっている。
産業革命以来で初、英国で24時間「石炭火力ゼロ」を記録
2025年までに石炭火力の撤廃を掲げる英国で、2017年4月21日は記憶に残る一日となった。18世紀の産業革命以来で初めて、24時間連続で石炭火力発電を稼働させない日になった。
関西電力の「赤穂発電所」、石炭への燃料転換を中止
関西電力は兵庫県赤穂市の火力発電所である「赤穂発電所」の燃料転換計画の中止を発表した。石炭への切り替えを中止し、これまで通り重油・原油を利用した運用を継続する。関西の電力需要の減少や、CO2排出量の削減に向けた対策の強化が求められていることなどが理由としている。
石炭火力「全廃」へ、英国・フランス・カナダ
フランス、英国、カナダが石炭火力発電を廃止する政策目標を発表した。フランスは2023年、英国は2025年、カナダは2030年を目標とする。なかでも具体的な政策の内容に踏み込んだのは英国だ。英国政府は、老朽化していない石炭火力発電所を全廃する方法について、2つの政策オプションを提示。コストやエネルギー保障の観点から、国民が判断できる形とした。
石炭火力発電に国の方針が定まらず、原子力と合わせて見直し急務
環境省が石炭火力発電所の新設に難色を示し続けている。国のCO2排出量の削減に影響を及ぼすからだ。しかし最終的な判断を担う経済産業省は容認する姿勢で、事業者が建設計画を変更する可能性は小さい。世界の主要国が石炭火力発電の縮小に向かう中、日本政府の方針は中途半端なままである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.