さらに、組成及びプロセスを改良することで、低融性と同時に耐水性、耐光性、耐熱性を併せ持つガラスとした。
一般に、リン酸を主成分とするガラス(リン酸塩ガラス)は耐水性が悪いが、今回開発したガラスもリン酸を主成分とするが、組成を改良することで実用に耐える耐水性を持つようになった。組成改良前と後のガラスを50℃の水に4時間浸した場合、改良前のガラスでは表面が水と反応して不透明になったのに対して、改良後のガラスでは水に浸すの前の透過特性を維持できるとする。
また、今回開発したガラスの屈折率は波長633ナノメートル(nm)で1.65程度であり、シリコンやエポキシ、ポリカーボネートといった樹脂、BK7ガラスや、ソーダライムガラスに比べて高い。この屈折率は、工業的に用いられている半導体素子の屈折率との差が小さいので、発光素子に用いれば、光の取り出しに有利と予想されている。
さらに、樹脂と比較して高い耐光性と耐熱性も確保した。加速試験として、今回開発したガラスと代表的な樹脂であるポリカーボネートに、波長365 nmを中心とした紫外光を700時間照射した後と、200℃で1000時間加熱後の光の透過率を計測したところ、ポリカーボネートは著しく透過率が低下したのに対して、今回開発のガラスは両試験後も透過率に変化はなかったとする。
産総研では今回開発した低融点ガラスの実用化を目指し、構造解析を基にした反応プロセスの最適化や、用途に合わせた材料設計などの検討を進める。また、石塚硝子ではレンズ、封止剤などの光学用途を想定しているが、光学用途にとらわれない幅広い応用を検討するとしている。
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