天然ガス火力を水素専焼に改修、年約130万トンのCO2削減効果 : 蓄電・発電機器
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、オランダのエネルギー企業が運営する天然ガス焚き火力発電所を水素焚きに転換するプロジェクトに参画し、水素専焼発電所への転換が可能なことを確認した。
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、オランダのエネルギー企業であるヌオン社(Nuon)が運営する天然ガス焚き火力発電所を水素焚きに転換するプロジェクトに参画し、初期調査を実施したところ水素専焼発電所への転換が可能なことを確認したと発表した。
同プロジェクトは、オランダ最北部のフローニンゲン(Groningen)州に位置するヌオン・マグナム(Nuon Magnum)発電所で実施。同発電所は、MHPSが納入したM701F形ガスタービンを中核とする出力44万kW(キロワット)級の天然ガス焚きガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)設備を3系列有しており、計画ではこの内1系列を2023年までに水素専焼に転換する。これにより、GTCC発電設備1系列につき年間約130万トンのCO2排出をほぼ削減できるという。
ヌオン・マグナム(Nuon Magnum)発電所 出典:三菱日立パワーシステムズ
この水素焚き転換プロジェクトは、MHPSとヌオン社およびノルウェーの石油・ガス会社であるスタトイル社(Statoil)など他数社が参画する。スタトイル社は、天然ガス改質により水素を製造し、取り出したCO2はCCS(Carbon dioxide Capture and Storage、二酸化炭素の回収・貯留)設備を利用すること計画しており、カーボンフリーな水素の供給が可能となる。
MHPSは引き続きガスタービン技術領域での実現可能性調査を担当し、具体的な改造範囲の計画等、同プロジェクトの実現に向けて協力するとしている。
水素が変える未来の火力発電、2030年のCO2排出量を減らす
次世代に向けた火力発電技術の1つとして水素発電の開発が進んでいる。水素を燃料に利用することでCO2の排出量を削減する狙いだ。水素と天然ガスを組み合わせた混焼発電から着手して、2030年代には水素だけを燃料に使う専焼発電の実用化を目指す。課題は発電コストと窒素酸化物の抑制にある。
水素社会の実現シナリオを再考、水素専焼タービンの実用化を急ぐ
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2030年以降の水素社会実現に向け、新たに水素専焼タービン燃焼器の先導的な2つの研究開発テーマに着手する。また、水素社会実現までのシナリオ作成のための調査研究体制を刷新し、より精緻化された技術開発シナリオ・戦略の策定を目指す。
世界初CO2を100%回収できる火力発電、米国で2017年に実証運転
米国テキサス州で建設中の「超臨界CO2サイクル火力発電システム」の実証運転が2017年に始まる。東芝と米国の3社が共同で開発を進めているシステムで、発電時に排出するCO2を循環させて高効率に発電できる世界初の技術を実装する。東芝は中核の発電機の製造を完了して米国に出荷した。
火力発電所の排出CO2を50%回収、大規模実証でCCS技術を実用化へ
火力発電所から排出されるCO2を削減できる分離・回収技術の実用化に向け、大規模な実証事業が始まる。東芝など13法人が福岡県の火力発電所に大規模な実証設備を建設する。技術だけでなく環境評価や制度面の課題も検討し、2020年度までにCCS(二酸化炭素の回収・貯留)技術の実用化を目指す計画だ。
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